フィナンシャルタイムズも、ペンギンも売りに出る?

 Economistの最新号(2005年8月6日号)が、英ピアソンの会長交代を報じている(Business欄「Pearson's new chairman -- Mystery Man)。ピアソンは、欧州を代表する経済紙フィナンシャルタイムズ、超一流経済誌エコノミスト、名門出版社ペンギン、それに教育出版事業を持ったメディアグループで、経営は順調なのかと思っていたら、そうではなかった。業績低迷で株主からの圧力が増し、フィデリティインターナショナルのファンドマネージャー出身で、ヘッジファンドのボードにいるグレン・モレノ氏が会長に送り込まれることになったという。メディアの世界では全く無名の人物。それもヘッジファンドの経営者かあ。
 で、収益力の再構築のために大胆なリエンジニアリングに走るのではないかという観測になるわけだが、最初に浮上してきたのが、ペンギンの売却説。米国などで好調の教育出版事業を中心に経営再建を進めるのではないかというのが考えられるシナリオで、競争の激しい一般書分野のペンギンは売却するというのは何となくわかるのだが、株主たちの不安は、フィナンシャルタイムズの将来性にまで及んでいるという。新聞の将来性に疑問が持たれているのだ。英国の新聞界の危機感はそこまで行ってしまっているらしい。フィナンシャル・タイムズは海外展開によって収益を拡大しようとしたが、肝心の英国で部数減少、広告衰退による収益の悪化に直面しているのだそうだ。インターネットの時代になり、ニュースも株価情報も無料で手に入る。とすると、収益性・成長性に不安のあるフィナンシャル・タイムズをピアソンが売りに出すこともあり得るらしい。ルパート・マードックフィナンシャル・タイムズに食指を伸ばすのではないかなんていう観測まで浮上しているそうだ。
 メディアはすごいことになってきたなあ。それをピアソン傘下のEconomistが記事にしているのだから、さらに凄まじいなあ。
 http://www.economist.com/business/