- 作者: 杉森久英
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 文庫
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一下僚の私(杉森氏)が、何かで不審な点を見出し、異議を申し立てても、
「局長が承知している」
といわれれば、グウの音も出ない仕組みになっていた。それは天皇制の下における官僚社会の慣習だったのだろうが、戦後民主化されたと称する今日の官界でも、同じことが繰り返されているのではないかと思うのである。問題は、天皇制とか民主主義とかいう、もっともらしい歴史教科書的分析で説明できることでなく、太古以来日本人意識の中に潜在している「上の人にいわれた通りしていればいい」という、処世上の知恵にあった。いずれにせよ、私は自分のやっていることに責任を感ずる必要のない気楽な身分だった。
そう変わらないんだなあ。この本、いろいろな有名人も登場して、平野謙など、ものすごく嫌な人物として描かれている。大政翼賛会の生みの親である近衛文麿の国民的人気って小泉純一郎みたいな感じだったのだろうか。まあ、近衛首相には、小泉首相ほどの度胸はなかったみたいだけど。いずれにせよ、面白かった。昭和研究会や大政翼賛会について勉強してみたくなる。