小長谷正明「ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足」

ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)

ヒトラーの震え 毛沢東の摺り足―神経内科からみた20世紀 (中公新書)

 副題に「神経内科からみた20世紀」。ヒトラー毛沢東、レーニン、スターリンルーズベルトら、歴史上の人物を心療内科の世界から見る。昔、「現代史を支配する病人たち」という本があったが、歴史上の人物を病気から見るというのは、なかなか刺激的で面白い。毛沢東ルー・ゲーリックが同じ病気(ALS=筋萎縮性側索硬化症)だったとは。独裁者、最高権力者の主治医となる悲劇。ナチス時代、人体実験に走る医師の倫理観などは、医師の著者らしい視点。ヒトラーの主治医のモレルは超ヤブ医者だったらしいが、ヒトラーに寵愛されていた。その理由は、強壮剤やら、覚醒剤やらを処方していたからだという。これまた、すごい話だなあ。