パンズ・ラビリンス

パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

 映像の斬新さで評判の映画で、幻想と現実が交錯するファンタジー映画かと思ったら、これが違った。スペイン内戦を背景にした凄惨で悲しい映画。最後に救いがあるといえば、あるが、ここではない、どこか別の世界に幸福があるというような「救い」。スペイン映画だなあ。「汚れなき悪戯」をつくった国だもんなあ。米国ではあり得ないし、フランスだって、ここまではやらないだろうなあ。ここまで描けるのは、内線を経験した国でしかないんじゃないかと思える。それにしても、もう少し、救いを残しそうだけど。タヴィアーニ兄弟の「サン★ロレンツォの夜」も第2次大戦末期のイタリア内戦の凄惨さを描いていたが、それでも少女の回想という形式をとっていたし、ところどころにユーモアを交えていた。ファンタジー場面の特撮もすごいが、その技術は現実の描写にも活用されいて、残酷。PG12というのもわかる。その一方で、残酷な大尉も人間として描かれており(歪んだ人間に育てられた歪んだ人間だが)、だから、なおさら悲惨。生きることはつらい。ともあれ、重い映画。