ジョン・マーチャント「アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ」
- 作者: ジョー・マーチャント,木村博江
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/05/14
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 164回
- この商品を含むブログ (42件) を見る
現存する古代の文献は、非常に視点が偏っている。それは全歴史を通じて、筆記者が書き写す価値があると考えた内容だけが、文献として残された傾向が強いからだ。そして残念ながら、最も大事な内容がかならず残ったわけではなく、むしろその逆が多かった。たとえば、知的水準が低下すると、筆記者は昔の高度な学識をあらわす文章を書き写さなかった。自分たちには理解できなかったためだ。そしてかわりに大衆受けしそうな単純な内容を筆写した。たとえば未来の人類が、私たちの科学知識をアメリカのテレビドラマの「フレンズ」や「ビッグ・ブラザー」だけを手がかりに判断した場合を、ご想像いただきたい。
なるほどなあ。偉大な科学文明が語り継がれなかった可能性もあるらしい。特に、理系の文献は残らなかった様子。文化が発展し、豊かになると、理系離れが進むのは古今東西共通の現象なのだろうか。