服部正「アウトサイダー・アート」

アウトサイダー・アート (光文社新書)

アウトサイダー・アート (光文社新書)

 タイトルに惹かれて読み出したのだが、面白かった。解説によると、アウトサイダー・アートとは

精神病患者や幻視家など、正規の美術教育を受けていない独学自修の作り手たちによる作品

 精神病の治療や知的障害者に対する教育としての“美術”はよくあるが、こちらは純粋なアートとして見る。で、そうした目で見ると、確かに面白いし、刺激的。この本でも指摘されているが、現代美術はともすると、戦略性というか、理屈というか、あざとさが目立ってしまうことがある。それに比べて、アウトサイダー・アートのほうは、描かずにはいられない、創らずにはいられないという純粋な衝動がある。その純粋性のほうが現代では貴重。海外では、「アール・ブリュット」といわれ、こうした作品を収集した美術館もあるという。また、パウル・クレーは、こうした作品に影響を受けているとか。読んでいるうちに作品の現物を見てみたくなる。