木村剛・日本振興銀行前会長逮捕。こんな本がありました

 日本振興銀行木村剛前会長が金融庁検査妨害の疑い(銀行法違反容疑)で逮捕された。小泉改革当時の金融分野でのスターのひとりだったが、現実に銀行を経営するとなると、理論と現実は違ったのか。日本振興銀行をめぐる問題は数年前からとりざたされていた。特に月刊誌「FACTA」は早くから指摘していた。例えば、2006年9月号には、こんな記事が。
振興銀行に業務改善命令金融庁とやりあう木村剛
 http://facta.co.jp/article/200609017.html
 2010年7月号ではいち早く、こんな凱歌も上げていた。
木村剛「虚栄」銀行に殺処分」
 http://facta.co.jp/article/201007020.html
 この記事のリードに曰く「本誌の調査報道が完勝した。業務停止命令に刑事告発で「塀の中」が待つ。あとは粛々と安楽死の道へ」。
PRESIDENT
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 木村氏は有名人とあって著作も多かった。昨年あたりから問題は切迫している感じだったが、2009年6月にはこんな本が

投資戦略の発想法〈2010〉

投資戦略の発想法〈2010〉

 2010年3月には、こんな本も出している。
『ビジネス』の発想法

『ビジネス』の発想法

 で、この出版社「ナレッジフォア」は木村氏のグループ会社だった。なるほど。「投資戦略の発想法」は最初は講談社から出ていたが、次にアスコムに移り、最近はナレッジフォアの出版になっている。このあたりも、いろいろとあったのだろうか。
投資戦略の発想法―ゆっくり確実に金持ちになろう

投資戦略の発想法―ゆっくり確実に金持ちになろう

最新版 投資戦略の発想法

最新版 投資戦略の発想法

 ナレッジフォアは「Financial Japan」(フィナンシャル・ジャパン)という金融誌を発行している。
Financial JAPAN (フィナンシャルジャパン) 2010年 06月号 [雑誌] Financial JAPAN (フィナンシャル ジャパン) 2010年 07月号 [雑誌] Financial JAPAN (フィナンシャル ジャパン) 2010年 08月号 [雑誌]
 木村氏は、日本振興銀行についても本を出していた。
金融維新―日本振興銀行の挑戦

金融維新―日本振興銀行の挑戦

 読んでいないが、金融維新は言うは易く・・・だったということか。これでエスタブリッシュメントの銀行が「そーれ、見ろ」と溜飲をさげるというのも違うと思うけど。日本の銀行もビジネスモデルが見つからず、世界の金融業のなかで復活したとはいいにくい気もするし、金融危機の中で欧米の金融機関に比べて相対的に傷が浅いとはいえても、それだけのような気もする。いま世界の注目の的は中国の銀行だし。
 で、「フィナンシャル・ジャパン」の表紙も有名人が飾っているが、本の方も木村氏には有名人との共著が多かった。
日本経済「出口」あり

日本経済「出口」あり

退場宣告―居直り続ける経営者たちへ

退場宣告―居直り続ける経営者たちへ

 一緒に本を出した人たちはいま、何を思うのだろうか。木村氏が変わってしまったのか。それとも、官の逆襲と思うのか。あるいは、木村氏の本性を見抜けなかったという思いか。木村氏自身、どこかで今回の件を総括した本を書くのだろうか。「金融維新始末記」とか。あるいは「人民は弱し 官吏は強し」だろうか。それとも徹底抗戦の「獄中記」になるのだろうか。