朝倉摂展(BankART Studio NYK全館)

 先日、横浜にある「BankART Studio NYK全館」で「朝倉摂展ーーアバンギャルド少女」を見てきた。舞台美術家の朝倉摂氏の個展。舞台装置の模型から舞台写真、挿絵、舞台デザインのためのスケッチ、絵本原画などが展示されている。これだけ揃うと圧巻。
 面白かったのは3階にあった巨大な布の幕に転写された舞台写真。舞台のイメージを伝える面白い手法だと思った。「にごり江」「走れメルス」「スーパー歌舞伎オグリ」「オペラ源氏物語」「エンジェルス・イン・アメリカ」「星の王子様」などの舞台の雰囲気を追体験することができる。2階では舞台転換のスライドが上映されており、これを見ると、どのように舞台が転移していくのかがわかって、これまた面白い。
 圧巻は舞台デザインのためのスケッチ(2階)で、寸法も詳細に指示が書き込まれており、絵に描くだけでなく、現実に舞台道具というモノを作ることが、どれだけ大変な作業化かがわかる。気が遠くなるような思いがする。
 挿絵、絵本原画などは見覚えがある画風であり、こうした絵を描く人だったのだな、と改めて思う。挿絵でいえば、松本清張の「砂の器」、山本周五郎の「季節のない街」、井上ひさしの「百年戦争」、絵本では「たつのこたろう」「ごんぎつね」などは朝倉氏の作品。
 しかし、膨大な作品群で、そのエネルギーに感嘆する。1922年生まれだから、90年代の作品は70代の作品でもあるわけだ。すごい創作意欲。で、最後に...。「朝倉摂」って男だと、ずっと思っていた。女性でした。恥ずかしいけど...、この展示会に来るまで知らなかったああ。
 で、会場となった「BankART Studio NYK全館」は、横浜市が歴史的建造物をアートセンターにした施設。NYKからもわかるように、日本郵船(NYK)海岸通倉庫を活用したもので、ニューヨーク風のアートっぽい施設。
朝倉摂展」の紹介サイト
 http://bit.ly/c9qczs
朝倉摂のステージ・ワーク 1991‐2002 朝倉摂 舞台空間のすべて 新装版絵本 たつのこたろう (講談社の創作絵本)