フィル・ベインズ『ペンギンブックスのデザイン 1935-2005』

ペンギンブックスのデザイン 1935-2005

ペンギンブックスのデザイン 1935-2005

 ペーパーバックの草分け、ペンギンブックスの装丁に関するビジュアルな本。図版多数。ブックデザインの変遷を見ることができて楽しい。ペンギンの歴史を5つの時代に分けているが、目次によると、以下の通り。

I. ペーパーバック出版社の設立 1935-1946
II. 一貫性と生き残り 1947-1959
III. アートディレクショングラフィックデザイン 1960-1970
IV. レーン亡き後 1970-1995
V. 「ペンギン」ブランドの刷新 1996-2005

 目次は、レーンとは「フィクション、ノンフィクションを問わず、見た目のいいペーパーバックで廉価版を出す」というアイデアをもとにペンギンブックスを設立したアレン・レーンのこと。文庫本のように古典中心の出版社かと思ったら、時事解説のノンフィクションも早くから手がけていたのだ。
 ブックデザインが今みても洗練されたものになってくるのは、1960年代にアートディレクションが導入されるようになってから。1961年につくられた「ペンギン・クライム」シリーズの表紙のグリッドテンプレートも紹介されていて、興味深い。ロゴ、タイポグラフィ、イラスト、写真など、いろいろなパターンがあって見ていて楽しい。ペンギンのロゴにしても時代とともに変わり、48種類もある。最後に「ペンギン組版規則」も収録されており、資料としても良くできている。海外の本づくりのあり方が分かる。