日本は「one-shot society」(一発勝負社会)

By and large Japan remains a "one-shot society": those who fail to get a good job upon graduation can be frozen out for life.

 英Economistが日本に関するスペシャルレポートを組んでいるが、そこで出てくるのが、この言葉、「one-shot society」(ワンショット・ソサエイティ=一発勝負社会)。大学を出たときに「良い会社」に入れるかどうかで人生が決まってしまう社会。このスペシャルレポートの中で、こうした企業分が日本を殺すというようなことを書いていたが、当たっていると思う。
 新卒の就職難も問題だが、それ以上に、この一発勝負社会をつくっている新卒至上主義の企業文化のほうが問題が大きいと思う。大学を出るか出ないかという一点の「一発勝負」で人生を決めてしまう。となると、その一発勝負への参加資格を得られない者、あるいは一発勝負で勝ちを逃した者の多くは、人生を投げてしまう。一発勝負にあっては男女間の差別も現実にはあるし、これから労働人口が減っていくというのに、とんでもない人材の破壊行為。生涯学習へのインセンティブも働かない。加えて、この一発勝負をかける年の景気動向によって勝率が左右されるのだから、これほど不公平なことはない。
 民主党も、龍馬のように、日本を洗濯したいのならば、こうした構造まで踏み込んだほうがいいんじゃないか。英Economistの日本特集の主眼は人口減少社会にあるが、企業にしても、この20代の一時期のワンショットで、その人間を終生保証するなどということは無理な話。経済成長社会・人口増加社会でなければ、存続可能性はないわけで、希望格差社会を防ぐ意味からも、この時期に、ワンショット社会からの脱却を目指すべきなんじゃあるまいか。日本人の留学が減っているというが、ワンショット社会では留学は不利ということもEconomistでは指摘している。若者のやる気の問題とばかりはいえない。
★英Economistの日本特集のLeaders記事
 The future of Japan: The Japan syndrome | The Economist http://t.co/xsLkFFd
 ※Economistは冒頭に「Leaders」という、その号の目玉記事のポイントを1ページ程度で解説したコーナーがある。
・JBpressに、このEconomistの記事の翻訳があった
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4904
PRESIDENT 希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く