追想(フランス映画)

 フィリップ・ノワレロミー・シュナイダー主演、ロベール・アンリコ監督のフランス映画(NHK-BSで放映していた)。ドイツ軍に妻子を殺された温厚な医師が復讐の鬼となって、兵士を皆殺しにする物語。といっても、「冒険者たち」をつくったアンリコの映画らしく、医師のノワレが、惨殺された妻のロミー・シュナイダーとの日々を回想していく場面が中心。甘美な記憶と残酷な復讐が対照的。戦争映画だが、シュナイダーのための映画といっていいくらいシュナイダーが魅力的。ただ、彼女が第二次大戦の悲劇のヒロインを演じた映画としては、ジャン・ルイ・トランティニヤンと共演した「離愁」のほうが好きだなあ。
 で、同じ「追想」というタイトルのハリウッド映画がある。そちらはイングリット・バーグマンユル・ブリナーの主演で、ロシア革命で殺された皇女アナスタシアの生存説を題材とした映画。両者は全くの別物。原題はフランス映画は「Le vieux fusil」(古い猟銃)、米国映画は、テーマそのまんま「Anastasia」。どちらの映画も主人公は追想するわけだけど、邦題と原題は全く関係ない。加えて、米国映画の「追想」はDVDが出ているが、フランス映画のほうは残念ながら、DVDもVHSも販売されていないようだ。