牛丼は「すき家」「松屋」の時代になる? 苦戦する「吉野家」

牛丼大手3社が低価格競争を展開する「牛丼戦争」で吉野家の苦戦が続いている。吉野家が9日発表した11月の既存店売上高は前年同月比8.2%減に落ち込み、プラスを維持した「すき家」「松屋」と明暗を分けた。吉野家は9月の牛鍋丼(280円)に続いて、11月には「牛キムチクッパ」(同)と低価格の新商品を相次いで投入したが、効果が持続せず、独り負けの状態。巻き返しに向け、12月からは新たな具材を発売したが、復活への展望は開けていない。

 日本のファーストフードのマーネジメント・モデルといえば、日本マクドナルド吉野家。両社とも苦しい時代があり、復活をとげてきた歴史を持つ。マクドナルドは依然として快走しているが、吉野家は再び、厳しい局面に入ってきた様子。今回は、すき家松屋の攻勢を受けて、防戦に追われている。狂牛病事件で米国産牛肉の輸入が禁止された厳冬期を乗り切り、その経営力が評価されたのは、つい数年前だが、いまは価格戦略、メニューなどマネージメントで後手に回っているようにみえる。
 外食系の人の話によると、店舗の効率を上げるには、いかに狭くて合理的なキッチンをつくるかがポイントだという(キッチンが小さければ小さいほど客席を増やせるし、さらに、メニューの変更に柔軟に対応でき、迅速な調理ができる構造のキッチンであることが重要なのだとか)。そして、この店舗の効率性で吉野家すき家に負けているという話だった。吉野家のカウンターは、ファーストフード・外食系で最も効率がいいのかと思ったら、今やそうでもないらしい。ファーストフードの経営も技術も日々、進化しているのだ。吉野家の経営力が再び、問われているんだなあ。吉野家日本マクドナルドに関するビジネス書はいろいろと出ているけど、すき家松屋に関する経営本はこれからなんだろうか。まあ、牛丼戦争の決着をみてのことだろうか。
吉野家 安部修仁 逆境の経営学 「牛丼」の謎―吉野家・松屋・すき屋のトリビア満載!! ハンバーガーの教訓―消費者の欲求を考える意味 (角川oneテーマ21)