大相撲、八百長事件で春場所の開催中止。大相撲が目指すのはプロレスか、柔道か

日本相撲協会は6日、八百長疑惑を受けて開かれた理事会で、3月13日に初日を迎える予定だった大相撲春場所大阪府体育会館)の開催を取りやめることを決めた。本場所が中止となるのは昭和21年夏場所以来65年ぶり2度目、不祥事による中止は今回が初めてとなる。

 八百長事件で、大相撲の春場所が中止。しかし、この八百長問題、そんなものがあるとは思わなかったというのも、どこか白々しい感じがする。昔から囁かれていた話。どこかの新聞が書いていたが、大相撲はスポーツなのか、ショーなのか、という問題のように思えるけど。テレビを見ていても、プロレスや格闘技の比較論が出てこないのは不思議な感じもする。相撲は、プロレスなのか、柔道なのか、と考えたほうがわかりやすい気がする。プロレスなのに柔道だと思っている人が多かったのかもしれないし、一方で、これは柔道ではなくてプロレスでしょ、と思っていた人は何を今さらと思う。
 現実の話、個人的には、スポーツで国技と言えるのは柔道という気がする。相撲はスポーツというよりも、伝統芸の世界のような気もする。歌舞伎や能と同じ。あるいは神に捧げる祭事のひとつといったらいいのだろうか。レスリングだってアマとプロがあって、アマはガチンコのスポーツ。プロは見せるスポーツ・エンターテインメント。それで価値が落ちることはないと思うのだが。勝ち負けを打ち合わせてしておくことを「八百長」というから、ややこしくなるのだろうか。「ストーリー」とか言ってしまえば、良かったのだろうか。
 伝統のあるスポーツだから、公益法人でなければならないというのも、よくわからない。税制優遇という事実上の補助金がなければ成立しない「興業」といいたいのだろうか。東宝や松竹がやっている歌舞伎は、株式会社がやっているから堕落しているのか。主催者団体が公益であるかどうかは、当事者にとっては重大問題だろうが、どうでもいい話のような気がする。NHKの放映にしても、人気があれば、放映するだろうし、限定された人気ならば、CS放送の有料チャンネルでやればいい話。そのぐらいのマスはあるだろう。
 結局のところ、スポーツにしてガチンコでやるのか、伝統エンターテインメントとなるのか、そろそろ決める時期に来たということなのもしれない。外国人力士がこれだけ活躍しているところをみると、ストーリー相撲ばかりだったわけでもないのだろう。一時期のプロレスみたいに日本人が勝ったほうが客が喜ぶんだろうし。プロレスの力道山、馬場、猪木はこれだけ愛されているわけだし、その道がないわけではない。プロレスだってストーリーがありつつ、ときにガチンコがある世界だから。ただ、スポーツでやるんだったら、場所数を減らすとかしないと力士の体が持たないのだろう。ケガの際の補償制度を含めて全面的な見直しが必要になるんだろう。
 しかし、一番かわいそうなのは白鵬白鵬の努力と涙で、大相撲を崩壊の危機から救ってから、まだ1年もたっていないのに。
相撲の歴史 私、プロレスの味方です (新風舎文庫) 柔道の歴史と文化