エジプト情勢を知るには、このあたりのサイトかと。日本のメディアはちょっと...

 エジプトで始まった反政府運動は昨日もタハリール広場に数十万人の市民を集結したという。今回のエジプトの動きを見ていると、どうも日本のメディアは頼りない。どうもレポートがあてにならない印象を受ける。日本のメディアでは、長引くストで市民に疲労感とか、デモ参加者は減少とかいっていたら、昨日の大集会。どうも根底に前原外相が言うのと同様のムバラク大統領で9月までに政権移行を考えればいいんじゃないの、という意識があるように見え、そうした視点で報道しているようにみえてしまう。
アルジャジーラ 報道の戦争すべてを敵に回したテレビ局の果てしなき闘い デモの人数も市民の疲労感も、それはそれで事実だと思うが、エジプト革命を読む上では、そこを強調するのは違うのではないかと思えてしまう。デモは、イスラムの休日にあたる金曜日に山場を持ってきているわけだし、そのときどきで参加者を比較しても仕方がないんじゃないか。市民の疲労感もあるだろうが、発言の主は、取材に協力してもらっている通訳やガイドの人たちで、こんなにデモが続いたら観光も止まって堪りませんよ、とか言っているのがベースになっているのではないかとか、つい邪推してしまう(アラビア語のできない欧米系記者の中にも同様の記事があるんじゃないかと)。こうした情報に着目する根底には、反政府デモを烏合の衆とみて、市民運動が自壊し、ムバラクの議会の野党による穏健な(米国が望むような)政権移行を期待する希望的観測があるのではないかと思えてしまう。外務省がそんなレクチャーしているのかなあとか。事件を読む視点を外務省に借りているんじゃないかとか。
 これに対して、中東系のアルジャジーラだけではなく、欧米系のメディアも、タハリール広場に集まった数十万人規模のデモ隊の秩序が保たれていることに感動している。広場に禁煙地区と喫煙地区が設定されたという話もあり、数十万人という市町村と同じくらいの規模の集団で、自治が機能している現場をみて新鮮な衝撃を受けている。反政府派に目立ったリーダーがいないことについても、毛沢東もレーニンもホメイニもいない革命であることに驚嘆し、そこに時代の変化をみている。民主主義の壮大な歴史的な実験の場と感じている。
 そうした視点が日本のメディアにはない。だから、読んでいても知的刺激はない。この事件の意味するところ、エジプトの実態が伝わってこない。「信長の野望」か「三国志」の陣取りゲームをみるような解説ばかりという気がしてくる。反政府が大統領支持派と衝突したとき、海外メディアは、大統領に雇われたギャングが反政府派を襲撃したという報道をしていた。市民同士の戦いとはみず、これまでの強権政治同様の行為と早くからはっきりと打ち出したレポートだった。公正中立な報道とは、両派のバランスをとることとは違うんじゃないかと。
 ということで、エジプト情勢を知るのに参考になると思ったサイトは...。
 まず、アルジャジーラ。反ムバラクの立ち位置がはっきりしているが、中東を本拠地とするメディアだけ情報量で圧倒している。アクセス数が殺到したためか、ウェブサイトが落ちたのではないかと思われたときがあったが、フェイスブックツイッターでレポートを続けるなど新しいメディアを駆使して報道する姿勢も頼もしい。カイロだけではなく、アレクサンドリアもカバーして情報を流しているのも中東メディアならでは。
アルジャジーラ(英語版)
・ウェブサイト => http://english.aljazeera.net/
・・ライブ放送映像 => http://english.aljazeera.net/watch_now/
・・ライブ・ブログ => http://blogs.aljazeera.net/
フェイスブック => http://www.facebook.com/aljazeera
ツイッター => http://twitter.com/AJEnglish
 米国勢では、数々の戦争・革命を取材し、今回もムバラク大統領単独インタビューをとったクリスティアン・アマンプール記者を擁するABCニュース。アマンプール記者は「Crisis in Egypt」というコーナーを持っているほか、ツイッターフェイスブックでも情報を発信している。ABCというより、アマンプール記者の報道に注目といったほうがいい。
★ABC News
Crisis in Egypt: Christiane Amanpour Reports - ABC News => http://t.co/6FwY2Vb
・アマンプール記者・フェイスブック => http://www.facebook.com/amanpourabc
・同・ツイッター => http://twitter.com/camanpour
 米国はムバラク大統領を支えてきたし、イスラエルにも近い。中東でも米国でもない情報といえば、やはり英国BBC
BBC NEWS
・ウェブサイト => http://www.bbc.co.uk/news/
 どのようにエジプトを見るべきなのかという「視点」も含めた報道・解説となると英エコノミストの世界。
★Economist
・ウェブサイト => http://www.economist.com/
・JBプレスによる翻訳記事 => http://jbpress.ismedia.jp/category/economist
 海外ニュースを英語で読むのはしんどい。そこでありがたいのは、Wataru氏(@S_Wataru)のツイッターアルジャジーラはじめ世界のニュースを時々刻々ツイートしてくれるので、ありがたい。
Wataru氏のツイート => http://twitter.com/S_Wataru
 そして、最後にエジプトの人々の心情を知るには、エジプト人のフィフィさんのブログ
★フィフィ オフィシャルブログ「All about FIFI」 => http://ameblo.jp/fifi2121/
 これ以外にも、いろいろなサイトがあると思うのだが、この1、2週間はこのあたりのサイトを参考にしている。
【やぶしらず通信・関連ログ】「4月6日運動」のFacebookページはこちらで
・緊迫するエジプト情勢。「4月6日運動」は2月1日に100万人デモを呼びかける => http://t.co/J0ogiSF