計画停電の「不確実性」に問題があることが認識されているんだろうか?

東京電力はエリアごとに順番で電力供給を止める計画停電輪番停電)の実施方法を見直す。現在、対象地域を5つのグループに分けて公表しているが、各グループをさらに5つ程度に細分化して公表する方針だ。同じグループでも停電になる地区とならない地区が併存するなど混乱が出ており、停電になる地域をより明確にし、消費者が対応しやすくする狙いだ。地域を細分化した計画停電は、早ければ3月中にも実施する方向だ。(略)細分化したエリアが実際に停電する可能性を3段階に分け、前日までに公表する仕組みも導入する。

 緊急避難として「計画停電」が必要なことはわかる。でも、この方式は弊害が多すぎる。計画があるというだけで、事業はできなくなる。実際に店は閉まっているし、停電を前提に事業も生活も計画せざるを得なくなる。可能性がある以上、「可能性を3段階」に分けても意味がない。鉄道も、可能性を前提にダイヤを組んでいる。エリアを細分化することで、各地の可能性の頻度がどのくらいになるかのほうが問題だろう。
 でも、こうした「計画停電」の精緻化よりも(いくら精緻化しても、可能性のリスクは消えないのだから)、総量規制を考えないのだろうか。少なくとも総量規制とのセットで、計画停電のリスクを極小化することを考えないといけないんじゃないだろうか。それも需要期の夏場が来る前に。猛暑に冷房を止めることの恐ろしさを考えたほうがいいんじゃないのか。で、時期を考えると...

電力供給は今後、火力発電所の運転再開や稼働率向上で増える見込み。電力需要も3月に比べれば4、5月は少なくなるが、実施地域をより分かりやすくし、経済活動への悪影響を抑える。

 幸い、まだ対処策を打つ余裕がある。これから4月、5月まで電力需要が少なくなる。それで、ほっとするのではなくて、この時期に規制に向けての法制面での整備とかを手がけるべきじゃないのか。これで、夏場になって、慌てるんだったら、バカ丸出しになってしまう。今後の電力消費抑制へ太陽光発電コージェネ化などを一段と優遇する手だってあるし、首都圏からのオフィス移転の優遇措置だって何だって、打てる手は打って、首都圏の電力消費を減らす総合的な施策を打ち、計画停電をなくす、それが無理ならば、最小化する努力をしないと、経済的な2次災害が発生してしまう。東京中心の時代が終わり、地方分権の新しい日本の時代が始まるきっかけにして、東日本全体の復興を図るとか、大胆な手を打つべきでは...。
 昨日、テレビ東京で、竹中平蔵氏が出て、戦後復興の司令塔となった経済安定本部(のちの経済企画庁)のような組織の設立を訴えていたが、一理ある。そういえば、民主党国家戦略局をつくるといっていた時代があったんだな。あ、今でも国家戦略担当大臣がいるのだ。何をしているのだろう?大臣を増やすよりも、まずは今の体制をフル稼働させることなのかも。
ウィキペディア経済企画庁をみると => wikipedia:経済企画庁
菅内閣 閣僚名簿等(首相官邸サイト) => http://t.co/kIe0SPE
【追記】
 結局、計画停電対策としては、こんな話が...

東京電力では、計画停電について、停電の地域を分かりやすくするため、今月26日の実施分から、第1から第5グループそれぞれで、市区町村を5つに分け、停電の対象を25の地域で細かく示す方針を発表しました。

 東電にすれば、こうしたことしか、できないだろう。民間企業だから。でも電力問題はもはや国民生活・国民経済の安全・安定にかかわる問題で、国の仕事。計画停電を極小化するために、消費規制まで踏み込むとしたら、国しか調整できないだろうに。政治家も官僚も東電に丸投げして、責任を押し付けるつもりなんだろうか。

電力危機を考える―環境・成長・需給

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