オペラ歌手出身の異色経営者、大賀典雄氏が死去。ソニーの経営としては毀誉褒貶も

23日死去した元ソニー社長の大賀典雄氏は、音楽家として世界有数のオーケストラを指揮するなど、異色の経営者だった。事業家としても、創業者の2人が「技術の井深大氏」「マーケティング盛田昭夫氏」といわれたのに対し、「デザインの大賀典雄氏」と呼ばれ、「SONY」を世界的なブランドに飛躍させることに貢献した。

 異色中の異色経営者。世界有数のオーケストラを指揮したのは、音楽家だからか、音楽の才能があるソニーの経営者だからかは、よくわからない。ソニーの経営者としては井深、盛田という2人の天才創業経営者の後継者としては毀誉褒貶相半ばするものがあるかもしれない。プラス面はこの記事を含めて、いくつもの記事で紹介されている通り、マイナス面は、ソニーがアップルやサムスンの後塵を拝する第一歩を踏み出すきっかけをつくったかもしれないこと。
大賀典雄指揮 ベートーヴェン「第九」 [DVD] ハードとソフトの融合の先導者で、音楽、映画会社を傘下に収めたが、自らコンテンツを持つことがエレクトロニクスメーカーとしての行動を制約することになった。CDやMDといったハード的制約をもつデジタル化はパッケージ・ビジネスには何の障害もならないからいいが、ネット配信となると話は別で、コンテンツ会社は抵抗勢力となってしまう。アップルはiPodを生み出したが、ソニーにはできなかった。技術的には可能でも、グループ経営上できない。加えて、傘下にコンテンツ会社を持つことは、コンテンツ業界に対する中立性をも失わせた。映画事業が連結決算に貢献したとしても、失ったもののほうが大きかった。
 CDからMDへという流れも、成功体験の継承だったし、後継者に出井氏を選んだのも正しかったのかどうか。いまは国際的なブランドイメージでは韓国のサムスンに後れをとるが、これが大賀時代の責任か、出井時代の責任かは判然としない。ふたりの合作なのかもしれない。すべて結果論ではあるが、経営者は結果責任の世界だから...。
 やはり功績は、CDの普及なのだろうか。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」時代の幸福な経営者だったかもしれない。こうした個性的な経営者が少なくなったことはさびしいことだけど...。合掌。
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SONYの旋律 (私の履歴書)

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