東京電力の損害賠償支援スキーム決まる。要するに政官財馴れ合いの“国有化”ということ?

政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力の損害賠償支援スキームは、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなった。巨額の損害賠償が発生し、債務超過に陥れば優先・劣後関係の中で損失を負担していくのが金融市場の原則だが、”too big to fail”(大きすぎて潰せない)との主張の前に、最初にき損されるべき株主も守られるスキームだ。「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。

 「too big to fail」といっても、銀行と電力会社は違うのだけど、東電の大口債権者の銀行が泣きついたのかどうか、結局は、国有化スキームということだろうか。これだけ巨額の賠償となると、最終的には税金で支援しなければならないのだろうが、「機構」をつくったり、いろいろと仕組みに凝るのは、天下り先づくりに見えてしまう。電力会社本体には、さすがに天下りできないから、機構の方に天下りするんだろうか。株主が傷つかないスキームならば、株式市場は好感してよさそうなものだが、日経平均も東電株も下げている。20世紀と同じように、官僚と間接金融の大手銀行が手を結んで経済を支配し、資本主義よりも社会主義を好む日本国ということをマーケットが再確認して、嫌ったんだろうか。民主党もどちらかというと、市場よりも統制のほうが好きそうだし...。しかし、自民党から民主党に政権が変わっても、政官財、鉄の三角形は不滅だなあ。
★東電、原発補償へ公的管理 政府支援の枠組み決定:日本経済新聞 => http://s.nikkei.com/muqimH
★【オピニオン】東電は必要なら破綻も−電力会社は銀行ではない - WSJ日本版 => http://on.wsj.com/lUqXKl

週刊 東洋経済 2011年 4/23号 [雑誌]

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