寺田寅彦「どんぐり」(青空文庫)
寺田寅彦が若くして病に倒れた亡き妻の思い出を回想したエッセイ。哀切に満ちた泣かせる文章。視覚的イメージが鮮明に浮かんでくる。寺田寅彦は、都会的でユーモアのあるスマートな知識人という印象だったが、一方で、こうした想いを抱えた人だったのだな。随筆だから、ごく短い文章だが、『世界の中心で、愛をさけぶ』以上の愛の物語。しかも、現実の体験だから、静かななかに、身を切るような想いが詰まっている。
このエッセイ、松本哉『寺田寅彦は忘れた頃にやってくる』で知ったのだが、そちらでは「団栗」と漢字で記載されていた。
★寺田寅彦「どんぐり」(青空文庫) => http://bit.ly/j3Vn5b
- 作者: 寺田寅彦,小宮豊隆
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1963/01/01
- メディア: 文庫
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