松本哉『寺田寅彦は忘れた頃にやってくる』

寺田寅彦は忘れた頃にやって来る (集英社新書)

寺田寅彦は忘れた頃にやって来る (集英社新書)

 「天災は忘れた頃にやってくる」の言葉で知られた物理学者であり、名エッセイストである寺田寅彦の伝記。新書らしくコンパクトに寺田寅彦の生涯と作品がまとめられている。タイトルは「天災は」を「寺田寅彦は」にもじったものだが、東日本大震災があって、寺田寅彦に、忘れた頃に再び、話題になってきた感じがする(昭和三陸津波の際に「津浪と人間」というエッセイを書いているが、これが今でも身につまされる。そんなこともあって、この本を読んだわけだが)。地震研究所に務めた東京帝国大学教授の地球物理学者でもあると同時に、夏目漱石正岡子規に学び、漱石の『三四郎』の「野々宮さん」のモデルといわれる才人。
 目次で内容をみると...

1.寺田寅彦は忘れた頃にやって来る
2.赤門教授のステイタス
3.小説に描かれた寺田寅彦
4.一生続く「電車の混雑」
5.随筆家としての出発
6.大地震の体験
7.科学の花園
8.物理学を志願した頃
9.ゆかりの地・熊本と高知

 この本を読んで、寺田寅彦の随筆集を読んでみようかと思った。