福島原発の事故調査・検証委員会の狙いは原因解明ではなくて、政治ショーなのだろうか

福島原発事故の原因究明に当たる「事故調査・検証委員会」の畑村洋太郎委員長は22日、日本記者クラブで講演。検証作業について「本人の了解があれば、首相や大臣、東電社長らから公開での聴取もあり得る」などと語った。

 一応、「本人の了解」という条件が付いているが、公開の聴取などというのが、事件の調査・検証に有効なのだろうか。本来ならば、免責も与えた上で事故に関する話を聴くべきなのだろうし、ともあれ、すべて正直に話してもらって、事故の原因や危機拡大の問題点を検証し、次に役立てることが目的の委員会なのだろう。責任追及ではなく、真相を解明することが社会に大きく貢献するという考え方で運営すべき組織なのだろうし、そのために失敗学の畑村氏が委員長に選ばれているのだろう。しかし、れが公開の席での聴取かあ。これでは、調査・検証よりも政治ショーになってしまう。
 公開聴取のメリットはなんなのだろう。本来は、個別に発言内容を隠して聴くのが調査の鉄則なんじゃないのだろうか。公開となれば、前の人の話に引きづられることもあるし、あるいは、自分にとって都合のいいところだけで人の話を組み込んで話すなどという芸当をする人も出て来るかもしれない。ともあれ、まずは誰が何を話しているのかも知らない状態で話を聴くのが筋で、そのあとで矛盾する点などを改めて聴きながら、事実に接近していくというのが筋なのではないのだろうか。
 どうして「公開」などという話が出てくるのか、よくわからない。それとも、この話の前後に何か、話がついているのだろうか。「公開聴取」だけ取り出すと、委員会が「公開裁判」をしたいのか、あるいは、弁明大会を開こうとしているのか、意図が見えない。最初から、ショーとして企画された委員会で、その役割を果たそうとしているのだろうか。えらい専門家の人たちが考えることは、わからない。
原発事故調委員長、首相ら公開で聴取:日本経済新聞 => http://s.nikkei.com/j8dyTg

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