北海道電力・泊原発3号機が営業運転へ。原子力安全委がダブルチェックしたというけれど...

北海道電力は17日午後、泊原子力発電所3号機(北海道泊村)について、定期検査の最終段階にあたる調整運転から営業運転に移行した。北海道の高橋はるみ知事が同日、海江田万里経済産業相に容認の意向を伝え、経産省原子力安全・保安院が北電に検査終了証を交付した。東日本大震災後に定期検査中の原発が営業運転を再開するのは初めて。(略)営業運転移行を容認した理由として、高橋知事は、保安院原子力安全委員会が泊3号機の最終検査を2重でチェックしたことを挙げ、「率直に評価している」と語った。

 福島原発事故以来、原発をめぐる議論が沸騰している。反原発派がヒステリックだと推進派は言うが、推進派が最初から原子力ありき、であることも相変わらず。北海道電力の営業運転再開の理由は、保安院原子力安全委員会がダブルチェックしたというが、原子力安全委員会の議事録を見ると、保安院原子力発電課長が検査結果を長々と説明したと、数人の委員がちょこちょこと質問し、そこで委員長が...

班目委員長 よろしゅうございますか。他に何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。よろしかったら、ちょっと、私の方から安全委員会の考え方というか、認識について、尐し申し述べさせていただきたいと思います。定期検査というものは、これは、あくまでも規制行政庁である原子力安全・保安院というところが、責任を持ってしっかりと、プラントの状況を確認し、その上で、合否を判断するものだというふうに、理解してございます。従いまして、定められた検査項目、それぞれについて、しっかり現場確認等を行うことなんかによって、その上で、適切な判断を原子力安全・保安院がしていただきたいと存じます。ただ、今後、もし何かございましたら、これは今回だけでなくて、いつも申し上げていることですけれども、その際は、適宜、是非、原子力安全委員会の方にも、ご報告くださるように、お願いしたいと思います
第61回 原子力安全委員会速記録 平成23年8月11日 => http://bit.ly/qY8QsT

 豪快だなあ。これって原発の検査は保安院の責任だよね、と言っているだけで、別にダブルチェックしているわけではない。ダブルチェックという場合、ひとりだけでなく、もうひとりも責任を持ってチェックするわけだから。さすがに、この議事進行には傍聴席から野次が乱れ飛んだらしい。しかし、委員長は野次にもひるまず、ダメ押しで最後にまた...

班目委員長 ありがとうございました。静粛にしていただかない場合は、退場していただくことになりますが。もう一度、それでは、安全委員会としての泊発電所に関する見解をもう一度申し上げます。よろしいですか。これは、あくまで定期検査が規制行政庁である原子力安全・保安院において、責任を持って行われるものだというふうに、これは認識しております。これは法律上 も、そういうことになってございます。従いまして、原子力安全・保安院におかれましては、法律に定められた検査項目について、しっかりと現場確認等をやっていただき、その上で、適確な合否の判断をしていただきたい、これが原子力安全委員会の意見です。原子力安全委員会は、原子力安全・保安院が報告をするといった場合には受けるという立場になってございます。従って、報告を受けたということでございます。それでは、ちょっと余りにも荒れてきましたので、しばらく休憩させていただきます。
第61回 原子力安全委員会速記録 平成23年8月11日 => http://bit.ly/qY8QsT

 休憩しちゃった。しかし、この無責任ぶりもすごいなあ。福島原発事故で学んだことは保身なんだなあ。だから、これって営業運転していいって言ったのは保安院だよね、とダメ押ししている。安全委は関係ないと。でも、これをダブルチェックとして、北海道知事は原発営業運転ゴーサイン。経済産業省出身の知事だからだろうかと、つい勘ぐってしまう。しかし、原子力村の人たちって変わらないなあ。あれほどの事故が起こり、まだ収束したわけでもないのに、すごいなあ。ただ、情報公開が進んでいるのはいいことで、原子力安全委員会がどういうことを話し合っているのか、よくわかる。原発の安全性というのは所詮、他人事なんだなあ。自分の地位の安全確保には敏感みたいだけど...。
原子力安全委、班目委員長らヤジで一時退席 : 読売新聞 => http://bit.ly/ocEHYm
泊原発再開、地元町村は知事を支持 被災者「安全といえない」:日本経済新聞 => http://s.nikkei.com/o8xfAF

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

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