欧州中央銀行の専務理事が債券買い入れに抗議して辞任? ユーロ経済権の南北対立は激化?

ドイツ出身のシュタルク欧州中央銀行(ECB)専務理事がECBによる債券買い入れプログラムに抗議して辞任したことで、11月に就任するイタリア出身のドラギ次期ECB総裁にとって、プログラムを積極的に進めることが難しくなりそうだ。ECBはシュタルク専務理事の辞任について「個人的な理由」と説明しているが、関係筋は、イタリアを含む一部ユーロ圏諸国の債券買い入れに対する抗議の意思を示すものだと指摘している。

 欧州中央銀行の亀裂が欧州の債務危機に対する不安に火をつける。債券買い入れに消極的なのがドイツ出身の専務理事で、積極的な次期総裁はイタリア出身。質実剛健のドイツやフィンランドなどのユーロの北組と、放漫財政で債務危機に陥っているギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインの南組との諍いは続きそう。人生観、金銭感が北と南では違う感じがするから、ややこしい。ユーロ不安はなかなか消えず、波は次第に高さを増していく感じがする。今日も世界のマーケットは荒れている。

ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)

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