ゼロ年代のベルリン展(東京都現代美術館)

1989年の壁の崩壊後、ベルリンは変化を続け、政治、経済、文化の実験場として世界の注目を集めてきました。ゼロ年代、ベルリンは世界の中で、アーティストを最も魅了するホットな都市となっています。そこではゆるやかなソーシャルネットワークがつくられ、ジャンルを横断する恊働や交流がなされています。グローバル化によって加速された複雑な政治社会状況に対して、各々の作品に忍ばせられた社会に対する意見(こえ)は、ベルリンの街に音楽(うた)のように響き渡っています。

 ベルリンを舞台に活躍する作家たちの現代美術展。しかし、現代アートは難しい。現代アートは時として頭でっかちになる。技巧とレトリック、コンセプトだけに走ってしまっていがちになる。一発ネタというのだろうか。奇を衒ったものになってしまう。この企画展の作品を見ていると、多くが、その陥穽に陥っているように思えた。
 映像作品が多かったが、この映像が氾濫する現代にあって、映像で世界を語ることは難しい。インパクトだけで言えば、いくら作りこんだところで、シリアやイランの混乱の中から命がけで世界に発信される携帯電話で撮影された、ちょっとピンぼけの映像にはかわなわない。時代を批判するような映像にしても、テレビや映画などの商業メディア自体が自分自身をパロディ化してしまう時代だから、ちょっとやそっとのテクニックではかなわない。テレビや映画を超えられない。難しいなあ。芸術のハードルが上がっている。で、結論から言うと、どうも頭でっかちというか、コンセプト先行のような感じがした。アートスクールの優等生の作品というか何というか...。あまり魂を感じなかった。
ゼロ年代のベルリン ―わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)- 東京都現代美術館 => http://bit.ly/uwWQbS

ベルリン美術散歩 (とんぼの本)

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