愛と性と音楽の映画作家、ケン・ラッセルが死去

映画『恋する女たち』『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』などでおなじみのイギリステレビ/映画界の重鎮ケン・ラッセルさんが今月27日に亡くなっていたことが、BBCニュースによって明らかになった。死因は脳卒中だったという。

アルタード・ステーツ~未知への挑戦~ [DVD] 英国の映画作家ケン・ラッセルが死去。ケレン味たっぷりの映像で名をなした作家だった。注目を集めたのは「恋する女たち」だったが、「ボーイフレンド」「トミー」といったミュージカルや「マーラー」「ヴァレンティノ」といった音楽芸術系の伝記映画を数多く撮っていた。愛と性と音楽の作家といってもいいのかも。個人的に好きだったのは「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」。ウィリアム・ハート出世作で、LSDを飲みながら、創ったのではないかと思うような飛んでいる映画だったが、天才科学者が科学の力を駆使して自己の内奥を探求していくと、その果てにあったのは底なしの空虚で、最後は愛に救われるというような内容だった。1979年の作品だが、70年代の自分探しの時代の空気を反映しているようだった。自分探しの旅の果てに何もない。青い鳥みたいな話だった。
 ただ、ケン・ラッセルの作品で一番好きなのは、BBC時代につくったテレビ映画の「夏の歌」(Song of Summer)。英国の作曲家、フレデリック・ディーリアスの晩年を描いた作品で、静かで美しく衝撃的な作品だった。車椅子に乗り、失明した高名な作曲家、ディーリアスの助手となった青年の視点で描かれていくのだが、最後になってディーリアスの肉体がボロボロな状態になったのは梅毒のためだったということが明かされる。初期の作品で、愛と性、つまり人間の業と音楽芸術の創造をめぐるドラマを描いていた。この作品にケン・ラッセルのすべてが凝縮されているような感じもするし、英国映画らしいドキュメンタリー的な抑えた手法がかえってインパクトを高めていた。
 いまや、ちょっと忘れ去られた映画監督という感じもするが、ともあれ、個性派の監督でした。合掌。
BBC News - Ken Russell: A true British original => http://bbc.in/utBKXY
BBC Newsが集めた映画人たちの追悼コメント
Ken Russell: Tributes paid to film director => http://bbc.in/u5m1cz
・Martin Scorsese on 'fearless' film director Ken Russell => http://bbc.in/u4kTx7å
・Vanessa Redgrave: Ken Russell was a genius => http://bbc.in/sliJ5m
・Glenda Jackson pays tribute to film director => Ken Russell http://bbc.in/vppocd
ウィキペディアで見ると => wikipedia:ケン・ラッセル
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