ゴッド・アンド・モンスター

 元祖「フランケンシュタイン」の映画監督、ジェームズ・ホエールの晩年、最期の数日を描いた映画。「ロード・オブ・ザ・リング」や「X-MEN」でお馴染みのイアン・マッケランアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた映画として記憶にあった。ただ、自らもゲイであるマッケランがゲイの主人公を演じた、変わったタイトルの作品ということを知っていた程度で、どんな内容なのか、全く予備知識を持たずに見た。で、これが意外と良い映画だった。第一次大戦の悪夢に取り付かれた男の生と死と性、そして彼の話し相手になる庭師の再生を描く物語。人間の業を描いている。主人公の中に「ゴッド・アンド・モンスター」が棲む。
 この年のアカデミー賞主演男優賞を取ったのは、「ライフ・イズ・ビューテフル」のロベルト・ベニーニだったが、本当はイアン・マッケランに受賞すべきだった感じする(ベニーニは受けを計算し過ぎていて...)。庭師を演じていたのは、「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザーフレイザーは、気のいい力持ちみたいなコミカルで、どちらかというと、ちょっとオバカな善人の役が多いのだが、こうしたシリアスドラマもいい。家政婦役を演じていたのは、リン・レッドグレーブだった。キャストの名前を見るまで、わからなかった。こういう年齢になってきたのだなあ。
 監督のビル・コンドンは、この映画でアカデミー脚色賞を受賞しているが、この後に作った映画というと、「ドリーム・ガールズ」。「ゴッド・アンド・モンスター」のような人間を掘り下げて描くユニークな題材に出会うのは一生に一度というタイプの人なのだろうか。この手の映画にも挑戦して欲しいなあ。興行的には「ドリーム・ガールズ」のように大ヒットすることはないと思うけど。
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