WOWOWアカデミー短編アニメ特集。インパクトの強い「ロゴラマ」。心に残る「落としもの」「デンマークの詩人」

「落としもの」ある日少年は浜辺で奇妙な生き物に遭遇する。「ロゴラマ」LAを舞台に有名なロゴが約16分間に約2500個も登場するポップでシニカルな1作。「デンマークの詩人」旅行でノルウェーに行ったデンマークの詩人がたどる道のりをつづる。「ハーヴィー・クランペット」ポーランドで生まれた男性ハーヴィーは豪州に引っ越す。「老人と海老いた漁師が主人公のE・ヘミングウェイの名作が原作。他、「砂の城」も放送。

 アカデミー賞シーズンに合わせた特集。これまでにアカデミー短編アニメ映画賞を受賞した6作品を紹介した番組。
 最もインパクトがあるのは「ロゴラマ」。ロゴだらけで表現された街で、マクドナルドのドナルドが凶悪犯に扮し、ミシュランのビバンダン(ミシュランマン、タイヤマン)が追跡する。ロゴの中には吉野家もあった。ただ、このロゴの乱舞(と著作権調整)に感嘆しているところがあって、あと10年たっても、このインパクトが続くのかどうかはわからない。どのぐらいロゴが持続するのかにかかっているのかもしれない。コンセプトで圧倒する映画。
 アニメそのものを楽しんだのは、ほのぼのとした「落としもの」と、北欧の寓話のような「デンマークの恋人」だった。この2作品が個人的には好き。一方、クレイアニメの「ハーヴィー・クランペット」は、ポーランドからオーストラリアへ委譲した男の一代記なのだが、これがホラ話風というか、寓話というか、それでいて強烈な人生物語。ポリティカル・コレクトネスなどクソ食らえというようなストーリー。
 「老人の海」はご存知ヘミングウェイの原作。それだけにストーリーはお馴染みのもの。むしろ絵画のような映像で見せるという技巧的な映画。技巧としてはすごいが…という感じ。アニメでなければできないことをしているというわけでもないので、その分、ちょっと退屈してしまった。「砂の城」は1本だけ1970年代の映画。ストップ・モーション・アニメで、砂の風紋などの描写はすごいが、いかんせん、ちょっと古い感じがした。
 というわけで、刺激性では「ロゴラマ」。お気に入りは「デンマークの恋人」と「落としもの」だった。
★「ロゴラマ(Logorama)」(英語)

★「落としもの(The Lost Thing)」予告編(英語)

★「デンマークの恋人(The Danish Poet)」英語版