福島県内の精神科入院患者のほぼ4人に1人が “放射線被曝の恐怖”

東京電力福島第1原発の事故後に福島県内の精神科に入院・再入院した患者のうち、放射線被ばくの恐怖が関連した可能性のある人は24.4%と全体の4分の1に達したことが福島県医大の調査で分かった。外来も事故関連とみられる新患は3割を占めた。原発事故が精神疾患へ及ぼす影響を示す事故直後のデータは世界的にもなく、同大は大規模原発事故や長期の避難生活などが心にどんな負担となっているのか患者の追跡調査をしていく。

 原発事故は、体に影響を与える以前に、心に深刻な影響を及ぼすのだなあ。福島県内の精神科でみると、入院・再入院患者のほぼ4分の1、外来も3割の新患が放射線被曝の恐怖が関係しているという。実際のデータで示されると、インパクトがある。そういえば、黒澤明の映画にも、核戦争への恐怖のあまり、精神病院に入れられる男を主人公にした「生きものの記録」という映画があった。黒澤映画のなかでは大コケした作品として有名で、僕自身、映画史として知っている程度なのだが、米ソ冷戦下、核実験が相次ぎ、核戦力の軍拡競争が続く1955年の映画。朝鮮戦争の休戦は1953年で、1962年には米ソが核戦争一歩手前にまで進んだキューバ危機があったから、この恐怖には切迫したリアリティがあったのだろう。そして、今は核戦争よりも原発事故の現実が心に重くのしかっている時代になったのだなあ。
★生きものの記録 - Wikipedia => http://bit.ly/GPcTDh
キューバ危機 - Wikipedia => http://bit.ly/GPeCZ1