プリンセス トヨトミ

プリンセス　トヨトミ　DVDスタンダード・エディション

　万城目学の原作を読んだ人から、本の方は今ひとつだったという話を聞いていたのだが、映画は楽しめた。豊臣の末裔を守る大阪国があったという荒唐無稽な話は文章で精緻に書こうとすると破綻し、ビジュアル中心の映画のほうが向いているのかもしれない。
　面白い映画になったのは、堤真一、中井貴一、綾瀬はるか、岡田将生といった出演陣の取り合わせの良さもあるし、「世にも奇妙な物語」を書いたりもしている相沢友子の脚本の巧みさにもありそう（ミラクル鳥居とゲーンズブールを小説と男女入れ替えているのも当たりかも）。監督は、こちらも「世にも奇妙な物語」を数多く手がけている鈴木雅之。このノリの良さは「世にも奇妙な物語」の感覚なのかもしれない。加えて、最近の日本映画には珍しくといってもいいくらい、美術がディテールまで作りこまれ、よく出来ていたことも楽しめた一因。小説を先に読んだ人には一言あるのかもしれないが、最初から映画を見た人には楽しめる一作。
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