彼とわたしの漂流日記

 リストラされ、彼女に振られ、サラ金を抱え込んだ男が人生に絶望して、ソウルを流れる大河、漢江(ハンガン)に身を投げたところ、中洲の無人島に打ち上げられる。島からはソウルのビル群がすぐ近くに見えるのに、抜け出せず、そのままロビンソン・クルーソーのように無人島生活を始める。一方、それを引きこもりの女性が自分のマンションの一室から偶然、発見し、ある方法で文通を始め...、というお話。
 奇想天外な設定の中で、現実社会に居場所のない男女の切ない物語が展開される。男は都市の中の孤島に、女はネットの中のバーチャルな世界に居場所を求めるが、結局は、それもかなわない。しかし、最後に二人はお互いの中に希望を見つける。韓国では、年2回、防空演習で交通がストップするときがあるらしいが、それがうまく使われている。公開当時も話題になっていたが、遅ればせながら、見たところ、評判通り面白かった。絶望の中で希望を見つける映画。いまの日本にも合っているかもしれない。
 主人公がチョン・ジェヨン、ヒロインがチョン・リョウォンで、ほんとど2人だけの映画。監督はイ・ヘジュン。主人公の「希望」となるジャージャー麺を食べたくなる映画。