ジャン=ポール・ネリエール、ディビッド・ホン『世界のグロービッシュ 1500語で通じる脅威の英語術』

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

 いまや英語圏で生まれたネイティブで英語を話す人よりも、ノン・ネイティブで英語を話す人のほうが多いという。ならば、道具としての国際共通言語としての英語を考えて、みんなで使いましょうという本。その国際語としての英語(English)をグロービッシュ(globish)としている。
 1500語で文章は15語より短く簡潔にとか、関係代名詞は使わず、受動態もやめましょうとか、いくつかルールを設けている。プレーン・イングリッシュの流れといってもいいかもしれないが、ネイティブの英語にコンプレックスを持たずに、国際語として異文化・非英語圏の人がコミュニケーションできることが最重要という主張が新鮮。ネイティブのように話す必要はないんだと。むしろ、ジョークや慣用句や比喩を使うことは避けましょうという。笑いは異質なものを笑うことにもなり、比喩は文化が違う人間にはわからないし、意味が変わることもあるからと、どこまでも異文化コミュニケーションの道具としての言語にこだわるところが面白い。
 グロービッシュの1500語などが巻末に収録されてはいるものの、語学学習の本というよりも、グロービッシュの普及を訴える啓蒙書といったほうがいい。右ページに日本訳、左ページにグロービッシュで記述された原文が載るという変わった構成だが、実際、原文でも読めてしまい、グロービッシュの効用を感じさせる。日本でも公用語が英語になる会社が出てきているが、その英語はグロービッシュでいいんだなあ。ネイティブと同じように話すことよりも、意思疎通・情報共有こそが目的だから。英語コンプレックスで、絶えず英語学習本を買ってしまう者には、面白い本でした。