『会社四季報 業界地図 2013年版』

会社四季報 業界地図 2013年版

会社四季報 業界地図 2013年版

 この業界では、どんな企業が主要メンバーなのかーーそんなことを知るには「業界地図」本が一番。こうした興味を持つ人が多いのか(就職、株式投資、取引先調査など、いろいろとニーズはあるのだろうけど)、書店には各社の業界地図本が並んでいる。で、日経と東洋経済と経済メディアの雄、2社が出している業界地図本を両方とも買ってしまったのだが、2冊読み比べると、今回は東洋経済版の「会社四季報 業界地図」のほうがいいと思った。
日経業界地図 2013年版 収録業界は日経147業界・企業グループ、東洋経済は141業界。数は日経の方が多いが、このあたりの差は微妙なところ。最終的に自分が関心を持っている業界が入っているかどうか、というところが問題だが、140を超えると、主要業界はだいたい入っている。重要なのは、自分が関心のある業界の調査の精密度であって、ここは実際、中身を見てみるしかない。
 特集は日経が主要100品目シェアで、東洋経済は市場規模マップ、世界経済地図、2012〜13年度・業種別・業績展望、そしてスマートフォンなど18注目業界動向。日経のシェアは面白いし、参考になるのだが、難点は国内シェアであること。経済がグローバル化するなかで、国内シェアだけだと、どうも物足りないところがある。特に自動車、薄型テレビなどは国内だけで見ても、あまり意味がない。
 この国内中心の内向きな視点は日経版の全体にいえる。例えば、スマートフォンでは、日経は国内出荷台数でシャープがトップで、富士通が2位。そして海外勢は、という調子だが、東洋経済は、アップルとサムスン電子を中心にグローバルな業界マップを描き、日本勢は「ガラパゴス化で影が薄い」と、はっきり書いている。日本勢の業界地図は「携帯電話端末」で紹介している。監査法人を見ても、日経は国内4大監査法人だけの図解だが、東洋経済は世界の4大会計事務所の紹介もあるうえ、国内も4大監査法人以外の中堅どころのシェアにも触れている。
 要するに、東洋経済の『会社四季報 業界地図』のほうがグローバルな視点を踏まえた上で、日本企業の業界地図を描いている。実は、日経の『業界地図』を先に買ったのだが、満足できずに、東洋経済の方を買ってしまった。2013年版では、日経のリベンジを期待したものです。両雄、競い合って、さらに良い本が出てくると、うれしいです。