フランスのオランド大統領が、かつての植民地アルジェリアで演説。そこで思い出すアルジェリア独立戦争の映画...

フランスのオランド大統領は、北アフリカのかつての植民地、アルジェリアで演説し、両国のしこりとなってきた歴史問題について、「植民地支配は不当でアルジェリアの人々に苦痛を与えた」と認めたうえで、協力して新たな歴史を築こうと呼びかけました。(略)演説を聞いたアルジェリアの議員からは、「大きな一歩だ」といった評価が聞かれる一方、「期待していたのは謝罪だった」といった意見も聞かれ、歴史認識の問題を乗り越えることの難しさもうかがわせました。

 フランスのオランダ大統領がアルジェリアで演説。フランスの植民地で、独立派にたいする弾圧やテロの応酬など激戦となった国だけに、そこでの演説が注目されていたのだが、「植民地支配は不当でアルジェリアの人々に苦痛を与えた」という表現にしたのだな。「謝罪」すれば、今度はフランス国内の保守派が黙っていないし、政治的には、この表現だったのだろうなあ。
 で、アルジェリア独立戦争(解放戦争)については、いくつもの映画がある。まずは、この映画...

アルジェの戦い [DVD]

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 植民地支配に対する憎しみと暴力の映画。基本的に、解放戦線側を描いているのだが、憎しみの連鎖によってテロがどのようにして生まれるのかを見せてくれる映画でもある。フランス軍の拷問も描かれるが、フランス側の心理もまた見ることができる。独立、革命のエネルギーが表現された映画。スターではなく素人を使い、モノクロでもあり、すごくリアリティがあった。この映画はイタリアのジッロ・ポンテコルヴォの名作だが、ハリウッドがアルジェリア戦争を描くと... こちらはアラン・ドロンアンソニー・クインクラウディア・カルディナーレとスターが勢ぞろい。フランス軍の拷問も描かれ、兵士に倫理的な問題を突きつけるが、それはベトナム戦争における米国自身の問題でもあったのかもしれない。ただ、ロマンスを絡めたりしてしまうところがハリウッド。
 フランス自身がアルジェの戦いを真正面から描くには、時間が必要だったようで、2007年のこの映画...
いのちの戦場 -アルジェリア1959- [DVD]

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 苦い映画。拷問と虐殺、そして精神の荒廃が描かれる。
 アルジェリア独立戦争を直接描かず、それを背景にした映画もある。アクションものではこちら...
ジャッカルの日 [DVD]

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 アルジェリアの独立を認め、戦争を集結させたド・ゴール大統領をアルジェリア駐留軍の軍人たちの秘密組織(OAS)が暗殺しようとする話。雇われた殺し屋がジャッカル。
 そして、戦争は多くの人の人生を変えてしまうわけで、そんな物語がこちら...
シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]

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 カトリーヌ・ドヌーヴが主演したフランス・ミュージカルの代表作、「シェルブールの雨傘」。恋人が徴兵され、アルジェリアに派遣され、消息を絶ち...という悲恋のストーリー。ミシェル・ルグランの音楽が美しかった。
 そんなこんなで、アルジェリア独立戦争をテーマに、フランスが冷静に映画をつくれるようになったのが、1962年の戦争終結から45年たった2007年。大統領がアルジェリアを訪問しても、その発言にはかなり注意しないと、フランス国内に新たな火種を産んでしまう。だから、冒頭のような表現だったのだろうなあ。