佐藤優『読書の技法』

 1カ月に300冊以上の本を読むという佐藤優氏の読書術。言われてみると、そのとおりなのだが、速読ができるようになるには、その分野の基礎文献を熟読しておくことが大切なのだなあ。どうしても楽をしたがるので、つい基礎を抜かして遠回りしてしまう。反省します。そして速読が必要なのは、何を読んで、何を読まなくていいかをはんだするためだと。なるほど。本の読み方が、具体的な書名をあげながら説明され、読書ノートのとり方も紹介されている。抜書きは手間のようだが、確かに知識を消化するのに効果があるだろう。ノートは30分と時間を区切るというのも、ノウハウだなと思った。ノートを取ることばかりに時間をとられることにもなりがちだから。すぐに読めてしまう本で、役に立ちました。
 目次で、内容を見ると…

第I部 本はどう読むか
 第1章 多読の技法ーー筆者はいかにして大量の本を読みこなすようになったか
 第2章 熟読の技法ーー基本書をどう読みこなすか
 第3章 速読の技法ーー「超速読」と「普通の速読」
 第4章 読書ノートの作り方ーー記憶を定着させる抜き書きとコメント
第II部 何を読めばいいか
 第5章 教科書と学習参考書を使いこなす
   世界史、日本史、政治、経済、国語、数学
 第6章 小説や漫画の読み方
第III部 本はいつ、どこで読むか
 第7章 時間を圧縮する方法ーー時間帯と場所を使い分ける

 最後に特別付録として「本書に登場する書籍リスト」が付いている。第5章の「数学」のなかで、「微積分では鳩山元首相の行動様式も理解可能」という指摘が面白かった。あの発言にも、それなりの論理性があるのか…。ちょっと奇をてらっている感じもするけど。
 で、印象に残ったところを抜書きすると、難しい本には2つのカテゴリーがあるという。

第一は、書かれている言葉の定義がなされておらず、先行思想の成果を踏まえていない、悪い意味での「独創的」(もっと率直に言えば、「でたらめ」な本だ。

第二は、基礎知識がないと理解できない専門書だ。

 筆者の日課表…

 5時 起床
 5時〜5時半 入浴、朝食
 5時半〜13時 原稿執筆
 13時〜13時半 昼食
 13時半〜19時 読書、原稿執筆(途中、約1時間散歩)
 19時〜21時 食事と休憩
 21時〜24時 原稿執筆、ノート作り、語学学習
 24時〜26時 読書

 睡眠時間3時間…。すごいなあ。でも、基本的に朝型。その理由...

 夜は、極力、執筆活動は行わない。このことを筆者は、ドイツの進学者ディートリヒ・ボンヘッファーの著作から学んだ。ボンヘッファーは「夜は悪魔の支配する時間なので、夜中に原稿は書いてはいけない。夜中に原稿を書くことを余儀なくされた場合、翌日太陽の光の下でもう一度その原稿を読み直してみること」と述べているが、確かにそのとおりだと思う。総合誌や論壇誌でも、夜書いた文章はよくわかる。感情が過剰になって、論理の崩れが多くなるからだ。

 そうかあ。夜のほうが執筆は進むけど、確かにハイになってしまうリスクがある。書いたら、1日寝かして、もう一度読んでから、原稿を出版社でも、よく注意される話。
 紹介されていた本の中で、気になった本を上げると…

小説 琉球処分(上) (講談社文庫)

小説 琉球処分(上) (講談社文庫)

小説 琉球処分(下) (講談社文庫)

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 沖縄を理解する上で参考になりそう。
 あとは基礎学力系で、まず世界史...
理解しやすい政治・経済(改訂版)

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 そして苦手な数学系...
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 もう一度、勉強してみるかなあ。