エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場−−伝説の投機王リバモア』

欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア

欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア

 20世紀初頭の米国の投機家(昔風に言えば、相場師)、ジェシー・リバモアをモデルにした小説。デイトレードとか、株式投資の本を読んでいると、推薦書として必ずと言っていいほど出てくる本で、興味を持った次第。リバモアは投機で成功と失敗を繰り返し、何度も破産しては蘇り、最後は自殺してしまう。この本はリバモアにインタビューして、その取材結果をもとに書いた小説ということで、どこまでが事実で、どこからがフィクションなのかはわからないのだが、投機の理論と心理を語っていて、確かに面白い。一方で、マーケットがまだ規制の少ない、ある種の無法地帯であった時代でもあり、映画の「スティング」を思わせるような風景もある。
 この本はリバモアが幸福な時代(成功していた時代)にインタビューしたものらしい。最後の没落までは本人も予期できなかったのだなあ。ただ、本人もなぜ失敗したのかを赤裸々に語っており、その失敗談を含めて面白い。そして、この手の投機家は、利益をあげたかどうか以上に、自分の相場観、投機理論が正しいのかどうかにこだわっているようにも見える。そうでなければ、これほどの浮沈を繰り返すこともないのではないかと。投機にどっぷりつかってしまうと、勝ち抜けというのは難しいのかもしれないなあ。
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