トマス・H・クック『緋色の記憶』

緋色の記憶 (文春文庫)

緋色の記憶 (文春文庫)

 1997年度のMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長編賞受賞作。97年の作品ながら、1920年代の事件を描いていることもあってか、小説のテイストがどこか60年代。「おもいでの夏」というか、昔の映画を見ているような感じがする(あの映画はミステリーではないが)。面白いといえば、面白いが、90年代になぜ、この小説を、という気持ちもしてくる。ノスタルジー趣味の人のかなり技巧的な作品といってもいいのかもしれない。