三谷幸喜『清須会議』

清須会議 (幻冬舎文庫)

　織田信長が本能寺に倒れ、秀吉が明智光秀を滅ぼした後、信長の後継を誰にするかを決めた清須会議をめぐる小説。いま映画が公開されて、話題になっているので、興味を持って読んだ次第。本能寺の信長の独白に始まり、あとは清須会議に参加した面々の様子が「現代語訳」と銘打たれたモノローグによって語られていく。手練の劇作家の作とあって、面白くて、あっという間に読んでしまう。こうした権謀術数を駆使した権力争いというのは歴史として、他人ごととして読む分には面白い。
　欲を言えば、「アメリカン・グラフィティ」みたいに最後に各人のその後がついていると、さらに面白かった。読後調べてみたら、信長の後継を争った信雄、信孝、三法師のうち、一番長生きしたのはアホと言われ、こいつだけはダメとされた織田信雄だったのだなあ。聡明であったという信孝も後継となった三法師も非業の死を遂げている。これもまたドラマだなあ。