曽木幹太『ASAKUSA STYLE−−浅草ホームレスたちの不思議な居住空間』
ASAKUSA STYLE 浅草ホームレスたちの不思議な居住空間
- 作者: 曽木幹太
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/05/27
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
しかし、東京にこんな空間があったとは驚き。ホームレスという言葉から連想するものとは、かけ離れた整然とし居住空間に感嘆する。テレビも、ビデオも、本棚もあったりする。文化的だなあ。この建物、現代の方丈庵ともいえるのだろうか。ホームレスの掘っ立て小屋の中にも、どこか方丈記の時代から延々と流れる日本文化の伝統が生きているんだろうか。不思議な気持ちになってしまう本。
その一方で、この居住空間を見ると、撤去だあ〜と言う人も出てくるんだろうなあ。この本が撤去を促進することになったのかもしれない。自由勝手に住処をつくって、こんなこと、許されません、と。しかも、こんな快適そうな空間で、と。違法建築の排除で、一般社会の常識なり社会秩序の維持としては当然のこととはいえるのだけど、どこか、その自由奔放さに対する嫉妬もあったりして。