長妻昭『招かれざる大臣−−政と官の新ルール』

招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)

招かれざる大臣 政と官の新ルール (朝日新書)

 安倍・自民党政権が天下の春を謳歌しているなか、民主党政権って何だったのだろうかと、ふと思って、読んだ本。2010年の政権交代時、民主党政権厚生労働大臣となった長妻昭氏の奮戦記。当時、官僚を敵視するばかりで活かしきれていないとか、何でも自分でやりたがるマイクロマネジメントとか、大臣としての資質がないのではないかと批判を浴びていたが、この本を読むと、いろいろと考え、試行錯誤していたんだなあ。
 副題にもある「政と官の新ルール」に向けての産みの苦しみの時期だったのかもしれない。鳩山首相の迷走やら、民主党政権が全体として方向感を欠いていたことやら、官僚を動かしていく上での覚悟が政権全体として共有されていなかったことやら、もろもろのことが当時の経済状況を打開できないこととも相俟って「混乱」「無秩序」「マネジメント力不足」というイメージを必要以上に大きく残することになったのかもしれない。期待されていたほどには成果をあげられなかったが、ネガティブな想像よりも、もっといろいろなことに取り組んでいたのだとも思う。
 しかし、今になると、民主党政権化の人たちが当時、どのようなことを考え、行動していたのかについて読んでみようかと思うが、あの当時は、官僚や反民主党系のメディアのネガティブキャンペーンもあったのかもしれないけど、あまりの混乱ぶりに、こうした本も言い訳に見えて、読む気が起きなかったなあ。
 で、目次で内容を紹介すると...

第1章 大臣退任の日
第2章 熱狂の政権交代
第3章 役所文化との戦い
第4章 官僚の抵抗
第5章 政治家を志した理由
第6章 民主党はどこへ向かうのか?
第7章 未来への提言

 最近はイケイケの安倍自民党を中心に大政翼賛会化が目立つ日本だけど、その暴走をチェックする対抗勢力として、民主党もめげずに、政権党時代に学んだことを次に活かして欲しいところだけど、相変わらず党内の混迷は続いているようだし、何だか元気がないなあ。新しい野党の枠組みが必要なのかなあ、とか、最後には、いろいろと考えてしまう本。