ジャンゴ 繋がれざる者

 クウェンティン・タランティーノの映画は暴力的で、血なまぐさいが、それは西部劇になっても変わらない。悪趣味といっていいぐらいの領域にまで迷いこむような、やり過ぎ感があるのは、この映画でも変わらない。で、話としてはB級アクション映画のノリのマカロニ・ウェスタンなんだけど、タランティーノの映画はなぜか良い俳優が大挙、登場して楽しませてくれる。今回も、離れ離れとなった妻を奪還しようと戦う黒人奴隷、ジェイミー・フォックスとドイツ人の賞金稼ぎ、クリストフ・ヴァルツのコンビは秀逸だし、悪役のレオナルド・ディカプリオも楽しそう。マカロニ・ウェスタンの元祖ジャンゴともいえるフランコ・ネロが顔を出しているのは、いかにもタランティーノ的な気配りだし、このほかにも、ドン・ジョンソンブルース・ダーンといった渋いところから、サミュエル・L・ジャクソンジョナ・ヒルといった芸達者まで、ともあれ役者が揃っている。タランティーノ自身も登場する。ちょっと抜けている役だけど...。しかし、それにしても血なまぐさい。