現代の問題を論じた経済学者の宇沢弘文が死去

日本を代表する経済学者で、公害などの社会問題の解決にも尽力した東京大学名誉教授の宇沢弘文さんが今月18日、肺炎のため東京都内で亡くなっていたことが分かりました。

 経済学者って、数式だらけの軽量モデルだったり、マルクス経済学の教義の城だったりに閉じこもってしまう人とか、あるいは反対に世俗化しすぎて、ビジネス評論家だか、社会評論家だか、あるいは政府の広報担当者だか、わからなくなってしまう人も少なくないが、宇沢弘文さんは、経済学にしっかりと基盤を置きながら、社会性を失わない、今となっては稀有な人だったなあ。思い出すのは、こんな本とか...

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47)

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 あるいは、こんな本とか...
社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)

 そして、こんな本... アルフレッド・マーシャルは、経済学者に必要な資質として「cool head but warm heart」と言ったそうだけど、そうした時代精神の中で経済学を学んできたひとりが宇沢弘文なんだろうなあ。いまは「冷静な頭脳と、あたたかい心」というより、「冷静な頭脳と、あたたかい懐」に関心がある時代なのかなあ。まあ、今でも「経済学は人々に幸福にできるか」と考えている学生さんも少なくはないんだろうけど、拝金主義のほうが社会性・公共性よりも優位にあるような気がどうしてもしてしまう。ひがみかな。
 で、話は飛ぶけど、経済成長の中国モデルというのは、発展段階の国では、人々を経済的に幸福することは人権よりも優先されるという考え方らしい。途上国では、このモデルを支持する声がけっこうあるとか。
宇沢弘文 - Wikipedia
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