「トランス」−−ダニー・ボイルらしいスタイリッシュなミステリー映画

 ジェームズ・マカヴォイ主演で、監督がダニー・ボイル。しかも「ドーベルマン」のヴァンサン・カッセルと「シン・シティ」のロザリオ・ドーソンが共演。かなり期待感を抱かせます。実際、ダニー・ボイルらしい快調なテンポの滑り出しで、謎が謎を呼び、終盤にかけて、どんでん返しが相次ぐ、なかなか楽しめるスタイリッシュなミステリー・サスペンス映画。ただし、現実と空想(催眠術の世界)が交錯し、観客もどちらが現実か、わからなくなってくる。
 ロザリオ・ドーソンがまさに体当たりの演技。ドーソンの身体が物語のキーになるのだが、日本はその部分はボカしてしまう検閲の国なので、主人公のマカヴォイがそこを見たときの衝撃は「空想」で補うことになる。ともあれ、ちょっと技巧に走り過ぎるところがあるな、というところも含めて、ダニー・ボイルらしい映画。