エボラ出血熱の死者が4000人超え。そこで、パンデミックで思い出す映画となると...

WHO=世界保健機関は10日、エボラ出血熱やその疑いによる死者が西アフリカを中心に4000人を超えたと発表し、各国は西アフリカへの支援と国内の感染予防策の強化を進めています。西アフリカを中心に患者が増え続けているエボラ出血熱について、WHOは10日、感染やその疑いで死亡した人が、これまでにギニアリベリアシエラレオネ、ナイジェリア、アメリカの合わせて5か国で4033人に達したと発表しました。

 まだ4000人か。もう4000人か。世界中を人が往来する時代、アメリカにも入ってしまったし、パンデミック(世界的流行)のリスクは高まっているんだろうか。で、パンデミックで思い起こす映画というと...

アウトブレイク [Blu-ray]

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 その名も「アウトブレイク」。アフリカから入ってくるところを見ると、エボラ出血熱がモデルだろうか。こちらは猿が病原菌を媒介するという設定。アクション場面も入るハリウッドらしい映画だったが、よりリアルにパンデミックを描いているのは、こちら...。
コンテイジョン [Blu-ray]

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 スティーブン・ソダーバーグ監督の「コンテイジョン」。こちらのイメージは鳥インフルエンザ系だろうか。パンデミックのシミュレーションドラマみたいな映画で、拡散と対応がドキュメンタリー・タッチで描かれていく。ウィルスだけでなく、恐怖と不安がSNSなどのネットワークを通じて拡散し、パニックを引き起こすところも現代的だった。そこにビジネスのカネが絡むことも。
 未知の病原体が世界的に拡散するというパンデミックもの、というのか、ウィルスもの、というのか、このジャンルの映画は冷戦下では生物科学兵器として用意されていた細菌が流出して...というパターンが多かった。例えば...
カサンドラ・クロス [DVD]

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 細菌の拡散だけでなく、そんな兵器を開発していたことも含めて抹殺しようとする「カサンドラ・クロス」とか。冷戦時代の陰謀史観的な空気を反映しています。
 日本の映画では... 小松左京原作の「復活の日」。こちらは細菌が拡散して世界は滅亡寸前まで追い込まれる。「渚にて」は核戦争後の終末的世界ですが、こちらは生物化学兵器がもたらす終末的世界。
 宇宙から来た地球外ウィルスだと...
アンドロメダ・・・ [DVD]

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 ロバート・ワイズ監督の「アンドロメダ...」。原作は、「ジュラシックパーク」を書いたマイケル・クライトンの「アンドロメダ病原体」。宇宙から来た病原体なんだが、生物化学兵器開発のために集めていたいんじゃないかという裏のストーリーがある。
 冷戦時代の20世紀は科学の時代で、感染症対策はほぼ解明されたように思われ、人間が自らの手で作り出す細菌兵器の恐怖のほうがリアルだったのかもしれない。現代は科学にも限界があることを感じ始め、自然から生まれた致死率の高い新たな感染症がリアルな存在としてテーマになってきたとも考えられる。映画は時代の空気を映しだすのだなあ。
 で、このなかで、いま最もリアルに感じられるのはやはり「コンテイジョン」だな。