「ブラティスラヴァ世界絵本原画展:絵本をめぐる世界の旅」(千葉市美術館)

 ブラティスラヴァ世界絵本原画展というのは、千葉市美術館のサイトによると...

スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催される「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」(略称BIB=Biennial of Illustrations Bratislava)は、ユネスコ国際児童図書評議会の提唱により1967年に始まりました。2013年秋に開催された第24回BIBでは、49か国、362名、2,344点におよぶ作品が出品されました。世界最大規模の絵本原画コンクールである同展は、実際に出版された絵本の原画を対象にしています。各国内での審査を経てノミネートされるため、芸術性が高い作品や、実験的でユニークな作品が集まることでも知られています。今回は、準グランプリに相当する「金のりんご賞」を日本人作家2人が受賞するという快挙があり、大きな注目を集めました。

Les gratte-ciel というわけで、第24回BIBから世界の絵本の原画を集めた展覧会。童話的なもの、アート的なもの、ジャーナリスティックなグラフィックノベル的なものまで、いろいろな絵本が紹介されている。印象に残ったのは、韓国のノ・インギョンの「ぞうのおじさんと100つぶのしずく」、同じく韓国のイ・ギフンの「ブリキのくま」、そしてトルコのフェリドゥン・オラルの「赤い羽のフクロウ」。
 会場には原画だけでなく、絵本も置かれていて、絵本は手にとって読むことができる。本として工夫されているものもあり、本のつくりとしてはスイスのアルベルティーヌの「摩天楼」。摩天楼が建設されていくのだが、縦長の本で、最初は小さな家で、上の部分が空白になっている。フランスのベティ・ボーンの「プルーストのマドレーヌ」も美しい本だった。
 会場の入口には、どの絵本の原画が良かったか、という観客による人気投票コーナーがあったのだが、トップは「赤い羽のフクロウ」だった。これは同感。
ブラティスラヴァ世界絵本原画展?絵本をめぐる世界の旅ー|2014年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館
 なお、千葉市美術館では、この世界絵本原画展と同時に「机のうえの旅−−楽しい現代美術−−」も開催されていた。草間彌生の作品もあったが、小ぶりの展示で、内容としては、もうひとつピンと来なかった。草間彌生は好きなのだが、日本の現代アートというのは、どうもアタマで作っているような感じがして、どうもスピリットというか、魂が入っていないような印象をもつことが多い。現代アートもアジアとか、中東とかのほうが、日本にない視点とエネルギーがあって、面白い。昨年、福岡アジア美術館で見た福岡トリエンナーレは面白かったし、刺激的だった。世界の絵本原画展でも、韓国、トルコ、イランの作品に新鮮さを感じてしまった。
机のうえの旅ー楽しい現代美術―|2014年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館

Kirmizi Kanatli Baykus

Kirmizi Kanatli Baykus

 ※ フェリドゥン・オラルの「赤い羽のフクロウ」