深夜のタンソンニャット空港は一歩出ると、人の海だった
ベトナムのホーチミンに行ってきました。1960年代、ベトナム戦争の時代、サイゴン(南ベトナム)特派員で、のちにペンタゴン・ペーパーをスクープしたニール・シーハンは南北統一から14年たった1989年にベトナムを再訪し、それを『ハノイ&サイゴン物語』という本にまとめています。飛行機に乗っていて、その中のサイゴン編のイントロを思い出しました。
私の回想は、南ヴェトナムの中部山岳地帯の上空1万フィートで始まった。もしあのころだったら、パイロットは対空砲火を恐れてサイゴンの上空に達するまで高度を保ち、それから急降下してタンソンニュット空港の滑走路に着陸したに違いない。
サイゴンが陥落し、南北ベトナムが統一されてから今年で40年。いまは平和な時代ですから、ボーイング767は眼下にベトナムの灯りを見ながら、タンソンニャット空港へ向けて徐々に高度を下げ、滑らかに着陸しました。平和な時代です。
空港ビルの内側はどこの国でもあまり変わりませんが、空港ビルを出ると、そこは東南アジアでした。ものすごい人、人、人。ガイドさんに案内されながら、人の海をかき分けるようにして自動車の乗降場まで行きました。深夜なのに、なぜ、こんなに大勢の人が出入口に集まっているのか、不思議だったのですが、あとでわかったのは、空港ビルの中には送迎の人たちは入れないということでした。中に入れるのは、航空便利用者と空港関係者だけ。それじゃあ、外は人があふれかえることになるわけです。しかも、空港ビルの外のスペースはあまりありませんから、立錐の余地もないという状態。混沌です。
空港からホテルまでの道は、ホーチミン名物のバイクの群れが深夜にもかかわらず疾走していました。都心部に入ると、道路にアーチ状に飾り付けれたネオンが美しく輝いていました。旧正月のときに飾りつけたという話でしたが、4月30日はサイゴンが陥落し、ベトナム戦争が終結、南北統一が実現した解放記念日(独立記念日)。今年は40周年なので、そのお祝いも兼ねて、電飾を続けている風でした。
ベトナムというと、映画や本で得た知識があるぐらい。しかも、映画も本もほとんどはベトナム戦争の時代を描いているもの。それが自分のベトナムのイメージを形成しているわけですが、戦後40年というと、日本で言えば、1985年(昭和60年)ぐらいの計算。それだけの歳月が流れていると考えると、ベトナムもかなり変わっていて不思議ではない。いまのベトナムって、どうなの?って興味津々のベトナム探訪となりました。
- 作者: ニールシーハン,Neil Sheehan,菊谷匡祐
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1993/04
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