FIFA、汚職事件でもブラッター会長再選。ただし、一度目の投票で決着はつかず。欧州はどう動くのだろう?
FIFA(国際サッカー連盟)会長選が29日にチューリッヒで行われ、現職のゼップ・ブラッター会長が再選を果たした。1度目の投票では206票中133票を得たブラッター会長だが、3分の2の支持に届かなかったことにより、勝負は2度目の投票に持ち越されたかに思われた。しかし、対立候補であるヨルダンのアリ・フセイン王子がここで辞退し、ブラッター会長の当選が確定した。
以前から腐敗を噂されていたFIFAだが、ついに米司法省・FBI・内国歳入庁がマフィア捜査のように合同で捜査体制をとって副会長など幹部を逮捕。この大スキャンダルでも、アフリカ、アジア、南米にアメを配りまくっているといわれたブラッター会長は当然のように再選される。ただし、UEFA(欧州サッカー連盟)は辞任を求めていたし、一度の投票で決まらなかったところがブラッター体制の終わりの始まりなのかもしれない。再選されたことで、FIFAはどこまで汚染されているのか、ということを改めて浮き彫りにしてしまったようなところがある。その意味で、二度目の投票を辞退しても、アリ王子が負けたとも言い切れない。
これからの関心は、欧州の動向なのだろう。FIFAと一緒にいることに、どれだけの意味があるのか、計算を始めるのかも。FIFAにとってUEFAは必要だが、UEFAにとってのFIFAは、FIFAがUEFAに感じるほどではない。加えて、ロシア・ワールドカップは、ソチ・オリンピックのようにロシアのプロパガンダに利用されるという問題を引き起こす。カタールにしても同性愛を禁じていたり、本来、サッカーの世界が持つ差別なき社会という理想と相容れない部分がある(イスラムは飲酒が禁止されていて、サッカーとつながりが深いビール会社にとって、どうよ?という問題もあるらしいが)。そうした理念の部分に目をつぶって、どこまで利益を追求するのか、という倫理的な問題も浮上する。
UEFAにとっては、チャンピオンズリーグもあるし、来年はユーロの大会もあるし、分裂という選択肢もありうるのだろうな。そうなると、ロシアや、ロシアに気を使う国はUEFAから脱退ということもあるのだろうか。米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは欧州と行動を共にするのだろうか。ブラッター支持の日本はオロオロしてしまうのだろうか。UEFAはUEFAで計算高いだろうから、ブラフをかけながら、主導権をとろうとするのかな。それ以前に、米国の捜査がどこまで進むのか。別途、捜査しているスイスはどんな動きを見せるのか。さらには英国の司法・捜査当局も動き始めたらしいから、まだまだブラッター体制で落ち着いたとはいえないのかな。投票結果は133対73だけど、FIFAのサッカーランキングで重み付けすると、この数字、逆転しているかもしれないなあ。
しかし、この先、何が出てくるのだろう。昔の事件が蒸し返されることもあるのだろうか。日本でも眠れない人がいるのかもしれないなあ。
★ ブラッター再選ならUEFAがW杯ボイコットも…? プラティニは辞任を要求 - Goal.com
★ FIFA汚職:会長に辞任圧力 欧州「再選なら脱退も」 - 毎日新聞
★ FIFA腐敗「巨悪」の覆面:FACTA online(2011年8月号)
Foul!: The Secret World of Fifa: Bribes, Vote Rigging and Ticket Scandals
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