足立美術館ーー「日本一の日本庭園」。でも、個人的には由志園のほうが好き

 島根県足立美術館といえば、その日本庭園の美しさで知られている。どんだけ、すごいかというと...

アメリカの日本庭園専門誌『Sukiya Living/The Journal of Japanese Gardening(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)』が、全国900ヶ所以上の名所旧跡を対象に実施した「2014年日本庭園ランキング」が発表され、当館の日本庭園が「12年連続日本一」に選ばれました。

 何と言ったって「12年連続日本一」。それだけに山のような期待を持って出かけた。しかし、その感想はというと...。期待が大きすぎたのかもしれない。まず、窓越しに庭園を見ることで熱は下がり、庭に入ることもできないことで、さらに熱は冷めていった。
 確かに美しい庭。しかし、人が入れない庭というのは、きわめて人工的というのか、整形美人を見ているような感じがしてしまう。綺麗だよね。でも感じない。みたいな...。完璧な美人が必ずしも魅力的ではないように、完璧に整備された日本庭園が心を打つものでもないのだな、と知った。米国人が見た日本庭園の美しさというのが、こういう形なのだろうか。でも、侘びと寂びに生きてきた日本人の感性とはちょっと違うのかなあ。庭を歩き、歩くたびに庭園の姿が変わっていくことを愛でるとか、庭を吹き抜ける風の感覚も含めて緑を感じるとかーー人間と自然の触れ合いみたいなものがない庭園というのは、どこかよそよそしい。美人なんだけど...。やっぱり整形した美人みたいなんだなあ。自然な美しさ、可愛さとは違うんだなあ。表現しにくいけど。庭園だから人の手が入り、人工的であるのは当然なんだけど、あまりにも人工的だと、ゴルフ場のような緑を感じてしまう。
 米子空港に降りて、中海を抜ける道路を通って松江に向かうと、途中、大根島があって、そこに日本庭園の由志園がある。足立美術館に比べると、小ぶりだが、この庭園の方が人間の肌のぬくもりがあり、好きだなあ。庭はよく手入れされているし、当然、入って歩くこともでき、周回できる道がある。庭園は歩くことで風景が変わっていく、そこを感じることが出来なければ...。完全な美を求めて整形し、ばっちりメイクを決めた美人よりも、自然な感じのスッピン美人のほうが好きだなあ。個人的な好みの問題かもしれないけど。
 期待の大きかった「足立美術館」と、あまり期待していなかった「由志園」と、期待値の差もあるかもしれない。でも、もう一度、行くとしたら、由志園だなあ。
足立美術館 => https://www.adachi-museum.or.jp
★ 由志園 => http://www.yuushien.com/yuushien/

庭園日本一 足立美術館をつくった男

庭園日本一 足立美術館をつくった男