台北当代芸術館(MOCA Taipei)ーー台湾にある小学校を改装した現代アートの美術館

 先日、台北に行ってきて見てきた美術館。台北といえば、故宮博物院というのが観光スポットの定番であり、そちらも見てきたが、現代の空気を感じるのは、やはり現地の新しい小ぶりの美術館。ちょうど香港のアーティストたちの企画展をやっていた。レンガ建ての建物だが、企画の関係で、装飾されていた。

 で、企画展の方は中国が政治的、経済的に支配力を強める中で、香港の今日は台湾の明日という問題意識があるように感じた。実際、香港の今日は台湾の明日という作品があり、それは台風が台湾から香港へと通過していく(台湾の今日の天候は香港の明日の天気)ということをメタファーとして、香港の現在の政治・社会状況が明日は台湾の問題となることを表現していた。
 作品説明は、中国語と英語だけで、作品自体は中国語なので、どれだけ理解できたのか、やや心もとないのだが、香港のアーティストたちが現在、感じている自由に対する不安は台湾の不安として共通している感じがした。面白かったのは部屋の3方の壁いっぱいに置かれた、何十ものモニターに映されるニュース番組の映像(アニメ化したもの)が最初は百家争鳴、すべてバラバラで無秩序に流されていたものが、一つひとつテストパターンになって消えていき、再びニュースが報じられた時はすべての画面が同じ映像、そして当たり障りのない社会ネタのニュースになっているという作品。中国が管理を強める現代のメディア状況を風刺、批評したものだが、中国だけのこととも思えず、安倍政権化の現在のテレビの状況にもつながるような感じがして不気味だった。
 ともあれ、自由の味を知っている香港や台湾の人々が今、どんなことを感じているのかが垣間見えて、興味深かった。小学校を改装した建物のも面白く、ちょっと学校の文化祭に入っていくような感じもした。
台北当代芸術館の公式サイト(中国語) => http://www.mocataipei.org.tw/