久しぶりに見たラグビーは恐ろしく速くなっていた。ラグビー、こんなに面白くなっていたんだ

 ラグビーワールドカップで、日本が南アに大金星を上げたことで、軽薄かもしれないけど、またラグビーに関心を持つようになった。再びラグビーに目を向けさせた点でも、まさ日本のラグビーの歴史を変えた勝利だったなあ。昔は大学選手権も日本選手権もよく見たものだけど、いつごろからかサッカーに関心が移ってしまった。サッカーに比べると、試合のテンポが遅いように感じたこともあるし、華麗なバックスのプレイというよりもフォワードの肉弾戦ばかりでつまらなくなってしまったところもあった。体のでかい奴の勝ちじゃんみたいな感じで...。交代の枠が緩和されたことも、ラグビーのストイックさを毀損するようで、ちょっとなあ、と思っていた。そんなこんなで、最近はサッカーは結構見ているが、ラグビーの試合は全く見なくなってしまった。かつては必ず見た早明戦も、早慶戦も、学生選手権も、日本選手権も、テストマッチも...。
 しかし、今回の試合で意識が変わった。単に日本が金星をあげたということだけではなくて、かなり久しぶりに見たラグビーの試合は面白かったのだ。それも現代にフィットし、とてつもなく面白くなっていた。まず試合のテンポが恐ろしく速くなっていた。現代の映画やテレビや舞台などと同様、展開が速い。スピードが現代の感覚に合ったものになっていた。昔はスクラムでもラインアウトでもマッタリ、ノッタリした感じががあり、相撲じゃないけど間を楽しむようなところがあったが、今回の試合では相手に考える間も与えないぐらい、畳み掛けてくる。それが「ジャパンウェイ」なのかもしれないが、見ていて、面白い。選手の交代も、このスピードを保つためと考えると、必然に思えてくる。審判も進化していて、トライではテレビ判定も導入されていた。主審も副審もトランシーバーで情報をやりとしているようだし、いつの間にか、先端テクノロジーを取り入れる洗練されたスポーツになっていた。トライの様子は何台ものカメラでウオッチされている。グラウンドにも映像は紹介されているようで、ラグビーワールドカップの観客動員数が増えているのもわかる。スポーツとしてのラグビーの良さを活かしつつつ、エンターテインメント化も図っている。
 日本でラグビーワールドカップを開催するという話を聞いた時は、なぜか、と思ったが、ラグビーはずいぶん進化していたのだ。それを知らしめる意味でも今回のイングランド大会は意味があったのだなあ。
 日本のラグビーエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)を得て、かなり進化していた。これも知らなかった。改めて関心を持って、調べてみると、メンタル面でも一変した戦う集団へと改造していたのだなあ。サッカー日本代表はこのところ、どこかヌルくなってきた印象があるが、知らないうちにラグビー日本代表は猛烈な勢いで進化していたのだ。サッカーと違って、ラグビーはチーム全員が揃った合宿の機会を多く持てるとか、いろいろと言い訳はできるのかもしれないけど、選手の自主性とか、見習うところはいろいろとありそうな...。今のサッカー日本代表のメンバーだったら、最後のペナルティで引き分け狙いをせず、勝ちに行くという決断をするのかどうか(まあ違うスポーツだから、一概にはいえないけど...)。
 初戦の南アは日本を過小評価して虚を突かれた感じがあったが、次のスコットランドは日本を研究し、準備してくるだろうから、次の試合が正念場かもしれないなあ。今度もサプライズを起こしてくれるのか、楽しみになってきた。しかし、なでしこジャパンにしても、ラグビーにしても、革命は周縁から始まるのからなあ(「周縁」といったら、悪いけど、野球、男子サッカーなどメディアでいつも取り上げられるようなスポーツじゃなかったものなあ)。ラグビーの神様は日本代表をきちんと見ていてくれんたんだなあ。