「火垂るの墓」「エロ事師たち」の野坂昭如が死去

戦争の悲劇を描いた「火垂(ほた)るの墓」で知られる直木賞作家で、歌手や参院議員など幅広い分野で活躍した野坂昭如(のさか・あきゆき)さんが9日、東京都内の病院で死去した。同日夜、東京都杉並区の自宅から意識不明の状態で救急搬送され、病院で死亡が確認された。85歳だった。

 「焼け跡闇市派」といわれた野坂昭如が死去。その作品といえば、これだなあ。

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

 「火垂るの墓」といえば、アニメと思う人がいるかもしれないが、この原作の文章の力のほうがインパクトというか、哀しさがある。この小説を読んでしまうと、いかにも、かわいそうでしょ、泣いてください、という感じのアニメは見る気にならなかった(で、見ていない)。個人的には、「火垂るの墓」といえば、この小説であり、黒のサングラスをかけて、吠えたり、歌ったりしている野坂昭如の見た目とのギャップが何ともいえなかった。こんな過去を抱えている人なのだなあ、と。
 野坂昭如の作品の映画化というと、「火垂るの墓」になってしまうのかもしれないが、インパクトがあったのは、こちらだろうか。 今村昌平監督の『「エロ事師たち』より 人類学入門」。野坂昭如の小説処女作「エロ事師たち」の映画化だが、雰囲気としては野さかというよりも今村的な感じだった(ような記憶がある)。
 1960年代後半から1970年代にかけての騒然とした時代に、若者たちに人気があったのは、野坂昭如五木寛之五木寛之は「蒼ざめた馬を見よ」で第56回(1966年下半期)、野坂は「アメリカひじき」「火垂るの墓」で第58回(1967年下半期)の直木賞をとっており、好敵手といった感じだった。ファンも二派に分かれていた感じがするが、ふたりの対談集も出ていた。 1973年の出版で、いまはAmazonの中古品(古本)で1円から。時代を感じるなあ。時代の寵児の対談も40年を超えると、忘れ去られていくのだなあ。でも、小説だけは作品として残り続ける。
★ 作家・野坂昭如の公式ホームページ => http://nosakaakiyuki.com/
野坂昭如 - Wikipedia
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