トランプの７カ国入国禁止に沈黙する日本…。「マンザナー」のことはもう忘れた？

　トランプ政権のイスラム系７カ国に対する入国禁止は米国内外で論議を呼んでいる。テロと言うならば、資金的にも思想的にもイスラム原理主義テロの母体となっているサウジアラビアはなぜ入っていないの？という話にもなるが、ともあれ、特定の国を指定して、難民もろとも入国禁止するのは移民国家、アメリカ合衆国としては建国の理念にも関わる問題でもある。
　まあ、中東のメディア、アルジャジーラが指摘するように、米国が特定の国や特定の集団の入国を禁止するのは初めてというわけじゃないけど...
★ Six other times the US has banned immigrants | | Al Jazeera
　第二次大戦の前夜、ナチスから逃れてきたユダヤ人を追い返した過去だってある。*1。その悲劇は映画にもなっている。

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　しかし、こうしたことは米国にとっては黒歴史であり、反省すべき対象であり、過ちは繰り返しません、というはずだった。しかし、今回は公然と時代に大逆行、大暴走。さすがに同盟国もトランプ政権のこの政策に疑義を呈している。いまや西側の理念であったはずの自由と民主主義のリーダーとなった感のあるドイツのメルケル首相ははっきりしていて

ドイツ政府のザイベルト報道官は２９日、イスラム教国７カ国の一般市民の入国を禁じた米大統領令について、メルケル首相は「テロとの戦いは、人を出身や信仰でひとくくりにして疑うことを正当化しないと確信している」とし、批判的であることを明らかにした。ドイツのメディアが伝えた。

　「自由・平等・博愛」のフランスのオランド大統領も

フランス大統領府によると、オランド大統領は２８日のトランプ米大統領との電話会談で、トランプ氏がシリアなどからの難民受け入れを停止する大統領令に署名したことについて、「難民保護の原則を守らなければ、民主主義を守ることはできない」と批判した。

　EU離脱で米国にすがる英国のメイ首相は、トランプ大統領を国賓として英国に招待していることもあって歯切れが悪かったが、国内から大批判を浴びた末に、首相の報道官が「この種の措置には同意しない」と言わざるを得なくなった。
　こうしたなかで、わが日本の首相は...

トランプ氏が、中東・アフリカ７カ国の国民の米国入国を一時禁止する大統領令を出したことについては、「米国の大統領令という形で米政府の考え方を示したものだろうと思う。私はこの場でコメントする立場にはない。いずれにせよ我々は、難民への対応は国際社会が連携して対応していくべきだと考えている」と述べた。民進党の蓮舫代表の質問に答えた。

　うーん。何にも言っていない。日本という国には、国家理念の背骨となる原理・原則がないのだろうか。米国政府を直接、批判しないにしても、メルケル首相のように原理・原則として自分たちの理念を語ることはできると思うのだけど...。もう「マンザナー（マンザナール）」*2のことを忘れてしまったのだろうか（あるいは知らないのだろうか）。マンザナーだけでなく、日系人が戦時中、全米各地の強制収容所に入れられた話を*3。そのことについてレーガン大統領が1988年に謝罪したことを。そうした同胞たちの歴史も踏まえた上で、一言あっても良かったと思うけど。原則を語っても良かったのではないかと。国籍と宗教で差別はしない。それが自由と民主主義を基盤とした国家の基礎であり、テロとの戦いを理由にして正当化されないと。もはや「自由民主党」じゃなくなったのかな...。
　かつて英国のブレア首相は米国のイラク戦争のお先棒を担ぎ、ブッシュ大統領の「プードル」と揶揄された。その伝でいうと、日本の首相はトランプ大統領の「ポチ」の座を目指すのだろうか。日本人も米国の移民排斥の対象になったことがあるという過去を思えば、今回のような事態のときには発言して欲しいところです。米国の友人として...。家来だから、言えないんだろうか...。それじゃあ、寂しいし、情けない。
　で、マンザナ、あるいは、当時の日系人の辛苦を描いた作品というと、こんなにあります。